第3話

文字数 2,760文字

健斗さんと付き合うようになって、結構経った。
ただ、キスはするようになったものの、その先に進む気配が一向にない。
ここ最近、健斗さんの部屋に泊まるとき、私は毎回そのつもりでそれなりに準備をするのだけど、無駄骨に終わる。
いろいろ考えてはみたけれど、私に駆け引きなんてできるわけもない。
だから、ストレートに聞いてみることにした。
「健斗さん」
「何でしょう」
「その……べ、ベッドでいちゃいちゃとかしたくないんですか?」
返事がないので、健斗さんのほうを見てみると何とも言えない表情をしている。
うう、さすがに引かれたか……。
そう思っていると、健斗さんが口を開いた。
「……それはまぁ、したいですよ」
「……ここ最近、私は毎回そのつもりというか、そうなるのかなと思って来てるんですけど」
少しぶっきらぼうな言い方になってしまった。
「ふふっ、そうでしたか」
隣に座っていた健斗さんがキスをする。
「女性に恥をかかせてしまうなんてとんでもないですね。すみません。ただ……その、私も誘うタイミングがよくわからなくなってしまって」
「わ、私はいつでもいいんですよ……」
「今日でも?」
「今日も……そのつもりで来てます」
「じゃあ、いいですか?」
「……はい」
「ふふっ、すみません。だいぶ不格好になってしまいました」
いつもスマートに何でもこなす健斗さんを知っているだけに、変なところで不器用になるんだなとそれが少し面白かった。
先にシャワーを浴びて、バスタオルを巻いたままベッドに座る。
いつもの健斗さんの家なのに、妙な緊張感があった。
男の人がホテルとかでそういうサービスを受けるときも、こんな感じなのかなとふと考える。
しばらくするとシャワーを浴びた健斗さんが出てきて、私の横に腰かける。
いつもよりも長くキスをしていると、バスタオルがはだけてしまった。
「お、お布団入ってもいいですか」
「ふふっ、いいですよ」
逃げるように布団の中に入ると、私に覆いかぶさるように健斗さんも入ってくる。
「そんなに恥ずかしがって、最後までできますかね?」
「うう……」
何度も何度も角度を変えながら、健斗さんがキスをしてくる。
それらしい雰囲気になってきたなと思っていたら、健斗さんが予想外の質問をしてきた。
「なるみさんは、どうされるのがいいですか?」
「っ!?」
「探り探りもいいですけど、せっかくなら最初から気持ちよくなってほしいので。どこをどうされるのがいいのか、どうされるといってしまうのか……教えてください」
「ちょっ、これは言葉責めですか?」
「違いますよ。至って真面目です」
「ふふふっ、なんか健斗さんっぽい」
「まぁ、待たせてしまったようなので私も頑張りたいんですよ。ほら、教えてください。口で言うのが恥ずかしいなら私の手を使ってもいいですよ」
至って真面目だと言いながらも、少し楽しそうにしている気がする。
自分の一番気持ちいいところはわかっているけど、言うまでもなく口にするのは恥ずかしい。
私は健斗さんの手をとって、一番敏感なところに運ぶ。
「そ、その……ここを吸ったり舐めたりされながら、ゆ、指を中に2本入れて動かされるといっちゃうと思います……」
「……言葉責めの趣味はないと思っていたんですが、こう改めて恥ずかしがっているなるみさんを見ると目覚めそうですね」
「いじわる……」
健斗さんが軽くキスをして、布団の中に潜り込んでいく。
足をぐっと開くと、すぐに健斗さんの舌がクリトリスを這った。
丁寧にしつこく、なぶるように。
そのまま様子を伺うように中に指が1本だけ入ってきて、だいぶ濡れていたからなのかすぐに2本目が入ってきた。
布団の中が見えなくて、余計に興奮してしまう。
呼吸が荒くなって、腰が勝手にガクガクと動く。
すぐに大きな波がやってきて、上半身までビクッと跳ねていってしまった。
健斗さんがじれったいと言わんばかりに布団を全部剥がしてしまって、膝立ちの健斗さんの前で私は全部を晒すことになった。
いった後のだらしない顔も改めて体を見られるのも、全部が恥ずかしくて思わず身を縮ませてゴロンと横になる。
「ふふっ、まだ恥ずかしいですか?」
「は、恥ずかしいですよ……」
「じゃあ、今日はここでやめますか?」
「やだ……」
「ふふっ、なるみさんは本当に可愛いですね。ほら、続きをさせてください」
そう言うと、私の体を自分と向き合わせるように動かして、またキスをする。
そのうち一方的に何度もいかされて、だらしない顔をしているのがわかっているのに、それを隠すだけの力もなくなってきた。
快感でぐったりとしている私を見て、健斗さんは満足そうだった。
私は最後までしてほしくて、健斗さんのものに手で触れた。
「……最後までしてくれないんですか?」
「……あまり煽らないでほしいところですね」
さっきまで健斗さんの指でかき回されていたところに、健斗さんのものが入ってくる。
勝手に中が締まって、健斗さんの形がよくわかる。
いいところに当たるとか、そういう意味ではない気持ちよさが全身を駆け巡る。
呼吸を乱しながら動いている健斗さんが愛おしい。
そのまま健斗さんは精を吐き出すと、貪るようなキスをしてきた。
「んふふっ、すごかったですね」
「……すみません。ちょっと歯止めが効かなくなってしまって」
「健斗さんは1回だけでいいんですか?」
「正直、まだしたいですけど、なるみさんが疲れてしまうでしょう」
「んー……健斗さんが満足するまでしてほしいです」
「これでも今まで我慢していたので、満足するまでとなると結構なことになりますよ」
「ふふふっ、いいですよ」
それから健斗さんが満足するまで何度も何度も健斗さんのもので突かれて、舌や指でも弄ばれて、気付いたら朝になっていた。
隣で寝ている健斗さんは少し疲れているようにも見える。
寝顔をもう少し近くで見ようと体を動かすと、その振動で健斗さんが目を覚ましてしまった。
私の顔を見ると、優しく微笑んで頭を撫でてくれた。
「おはようございます」
「おはようございます……なんかこういうのドラマみたいですね」
「まぁ、昨日はドラマなんかよりはだいぶ激しかったと思いますけど。……なるみさん、疲れたでしょう?」
「疲れましたけど……その、よ、よかったです……」
「そうですか。それはよかった」
健斗さんが笑いながらキスをする。
「私としては今から昨日の続きをしてもいいくらいなんですけど」
「……じゃあ続き、してください……」
そう言うと、すぐに健斗さんが覆いかぶさってきた。
「ああ、いけませんね。我慢していた分、タガが外れてしまったみたいです」
「健斗さんも我慢してたんですか?」
「ええ、かなり」
「じゃあ……これからは我慢しなくていいです」
「ふふっ、そう言ったことを後悔するかもしれませんよ」
それまでのことを取り戻すように、私と健斗さんは体を重ねる。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み