第37話

文字数 2,390文字

休みの日、ソファーでいちゃいちゃしていると健斗さんが思い出したかのように口を開いた。

「なるみさん」
「んー、何ですか?」
「これからシャワーを浴びてベッドに行くわけですが、ひとつお願いがあります」
「何ですか?」
「そのですね……ベッドに行ったらまず私の顔にまたがってみてほしいんですよ」
「はい?またがる?顔に?」

たぶん私は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたと思う。
それも含めて想定内という感じで、健斗さんは言葉を続ける。

「プレイの名前で言えば、顔面騎乗です。わかりますか?」
「わ、わかりますけど……」
「お願いできますか?」
「えぇ……」
「まぁ、そうなりますよね。でもよく考えてみてください。普段、私がしていることが上下逆転するだけですよ」
「そうですけど、なぜ突然……そもそもそれってMっ気のある男の人がしてほしがるプレイじゃないですか。健斗さん全然Mじゃないのに」
「……夢を見たんですよ」
「夢?」
「夢の中でもなるみさんとそういうことをしていて、実際にしてみたくなったんです」
「うーん、でも夢で見たことを実際にしたくなる気持ちはちょっとわかるかも……その、私がそうしたら健斗さん、嬉しいんですか?」
「まぁ、基本的になるみさんとするときは何をしていても嬉しいんですが、夢で見たことが現実になるという点ではより嬉しいですね」
「じゃあ……します」
「ふふっ、ありがとうございます。じゃあ一緒にシャワーを浴びましょうか」
「健斗さん、最近変態度増してますよね」
「そうなんですよ、なるみさんのせいで困ったものです」
「私は何もしてないんですけどねー」
「ふふっ、ほら行きますよ」

ふたりでシャワーを浴びて、いざベッドへ。
ただ、いざ顔にまたがるとなると思った以上に恥ずかしい。
寝転んだ健斗さんの横で私が座り込んで、地味に時間が経っている。

「……私はいつまでこの状態でいればいいんでしょうか」
「し、しますから……じゃあ健斗さん一旦目を閉じてください」
「わかりました」
「私がいいって言うまで目を開けちゃダメですよ」
「ふふっ、わかっていますよ」

健斗さんが目を閉じたのを確認して、足が健斗さんの肩や顔に当たらないように気を付けながらゆっくりと健斗さんの顔にまたがる。
ベッドのヘッドボードにつかまりながら確認して……たぶん、これで大丈夫。

「け、健斗さん、目を開けてもいいですよ」
「……実は少し前から目を開けていました」
「ひ、ひどい!」
「いいじゃないですか。もう全部見ているんですから。……ところで、なるみさん」
「な、何ですか……」
「相変わらず濡れやすいですね」
「う、うるさいですよ……」
「毎回どのタイミングで濡れるのか、本当に不思議です」
「……あんまり言うとやめちゃいますよ」
「私としては致す前からこうなってくれて嬉しいんですよ。あと、腰をもう少し下げられますか?」
「あんまり下げると顔を押しつぶしちゃいそうで怖いんですけど……」
「そうなったらそうなったで本望です。まぁ、私も手で支えますから大丈夫ですよ」

そう言われて、ゆっくりと腰を下げると健斗さんががしっと私の腰をつかんだ。
次の瞬間、いつものように健斗さんの舌がとろけた入り口を這う。
そのままクリトリスまでゆっくりと舐め上げて、クリトリスが健斗さんの口の中にのみ込まれていった。
気持ち良くて腰がガクガクと震える。
でも健斗さんの顔に押し付けてはいけないからと腰をなるべく持ち上げようとすると、それを健斗さんの手がぐっと戻してしまう。
自分でもみっともない格好になっているのはわかっていたけど、この状態のまま快感に耐えるしかなかった。
クリトリスが口の中で弄ばれている間に、健斗さんの指が入ってくる。
いつもと同じ中指と薬指なのに、今日はいつもよりもきつい気がした。
しばらく馴染ませるように指をばらばらと動かしていたけど、急に1点だけを小刻みに叩くように刺激してきた。
くちゅくちゅといつも以上に水音がするし、いつもとは違った攻め方で気持ちいい。
勝手にだらしない声が出てしまう。
健斗さんも私がいきそうなのがわかっているのか、中を攻める指をより激しく動かし、クリトリスもより強く吸い上げた。
「ん゛ん゛っ……」と唸るような声を上げながら、健斗さんの顔に腰を擦りつけるようにしていってしまった。
いった後の余韻で痙攣を続ける腰をがっちりとつかむと、健斗さんはわざと音を立てるようにじゅるじゅると溢れてきたものを飲み干していく。
しばらくされるがままの状態だったけど、私の腰が限界に近づいてきた。

「け、健斗さん、腰がもう死んじゃう……」
「ああ、すみません。夢中になりすぎました」

足が当たらないようにゆっくりと健斗さんの横に腰かける……つもりだったものの、思った以上に腰が疲れてそのまま倒れ込んでしまった。
今度は健斗さんが起き上がり、横になった私の髪や頬を撫でる。

「ふふっ、ありがとうございました。最高でしたよ」
「なんか……気を付けてたんだけど顔に押し付けちゃってごめんなさい……」
「正直、あれで溺れ死んでもいいと思いました」
「変態」
「私も自分で思っていた以上に変態だったようで驚いています」
「……またしたいですか?」
「それはもちろんですよ。でも腰に負担がかかるでしょう?」
「た、たまにならしてあげます」
「ふふっ、ありがとうございます。……なるみさんもよかったんですか?」
「なんか……さっきの指の動かし方、気持ち良かったです……」
「それは良かったです。さて、どうしますか?腰を痛めそうなら今日はここでやめておきましょうか」
「ちょっと腰が疲れただけですし、私が下なら大丈夫です。……わ、私、健斗さんのリクエストに応えて頑張ったと思うんですよ」
「ええ、頑張ってくれましたね」
「だから……いっぱいしてほしいです……」
「ふふっ、そんなおねだりいつ覚えたんですか?困りましたね。今日は覚悟してください」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み