静香ルート⑤
文字数 1,821文字
昨日に引き続き、また電話が鳴った。
出るつもりはなかったけれど、自然と手が受話器を握っていた。まるで電話の相手に操られているようだった。相手は予想通りだった。
静香父「あの女が居るって言うのか? 所詮は他人だ。それに、そいつはお前の傍にずっといるのか? それは一生か? 何歳まで傍いる? 先に死んでしまえばそれは一生にはならない。そもそもそいつはお前が好きだと言ったか? 一生ってなんだ? なんの基準でそれを定義する――――」
僕は電話を切った。こわい、と素直にそう思った。
誰もいない部屋で1人ぽつりと呟く。
昼休みになると自然に足が庭園へと向かっていた。
日に日に静香様のことが好きになるのが分かった。
静香様は優しく微笑んでくれた。それはバラが咲いたような微笑みだった。私はドキッと胸が高鳴った。
私のこの想いも、静香様に告白してみようかな……。
そう言われて私は目を瞑った。
目を閉じると、静香様の息遣いがより明確に伝わってきた。
想いの通じ合った私達はこの2人だけの場所で長い長いキスを交わした。
私は静香様の傍にずっといたい。
不安になったら私の存在を頼りにしてくれたらいいなと思うんだ。