ミカゲルート②
文字数 1,211文字
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夕方の弓道場に的を射る音が響く。
ビュッと放たれた弓は丁度中央に突き刺さる。中央に刺さる確率は2/3。まだだ、完璧にしないと優勝が出来るとは限らない。もっとだ、もっと射らないと――。
そう思ってぐっと弓を引く力を込めた時、パンッという音が鳴った。音の主は佐々木部長だった。
由紀様の為、私は絶対優勝をしたい。だって、かっこいい所を見せたいって思うんです。
弓道部の部長を見送り、練習を再開する。本人は佐々木小次郎の血を受け継いでいると豪語しており、武士のコスプレをしている。3年生であるけれど2年ダブっていて、なぜ弓道部に入ったのか謎なくらい毎日竹刀を持ち歩いている変わった先輩だ。
目を閉じすーっと息を吸い込み心を落ち着かせ目を開く。
そして、ゆっくりと弓を引く。