ミカゲルート④
文字数 779文字
袴に身を包み、深呼吸をして精神を統一させる。
そうするだけで今までの景色が少しだけ変わって見えた。
アナウンス『聖藍高校2年、豊前ミカゲさん――――』
私の名前を呼ぶアナウンスが鳴る。ゆっくりと弓を持ち射場へと向かう。
彼女――由紀様は見ていてくださっているでしょうか。
由紀様が私に手を振ってくれた。……よし。そして私は弓を構える。片目を瞑り、的だけを見据え、勢いよく弓を引いた。1本目、弓は丁度真ん中を射、快中。2本目
微妙だった。矢は中央をずれ、端に申し訳程度に刺さった。正直これは優勝出来るか分からない。3本目
そして3本目、矢は見事中央を打ち抜いた。
やりました由紀様。私は自然と彼女の方を向いてしまった。彼女は私に気付くとにこりと笑ってくれた。
ミカゲさんの放った矢は見事真ん中に的中した。
私は見入ってしまっておそらく息をするのも忘れていた。
そして、やはりミカゲさんは圧倒的優勝だった。