和海ルート③

文字数 1,265文字

和海くんは最近昼休みになるとどこかへ出かける。「どこへ行くの?」って聞いてみると「あ……えっと、ちょっと……」って気まずそうにして答えてくれない。だから今日は和海くんの後をつけてみることにした。

「中庭……」

中庭に和海くんは居た。猫と遊んでいるみたい。猫なんて飼っていたんだ……。

「にゃー」

「……ん、どうしたんだよ、そんな普通の猫みたいな鳴き声して……。って、うわぁ! 由紀!? どうしたんだよ、こんなとこ来て……」

「こんにちは和海くん。もしかして来ちゃだめだった? お邪魔だったかな……」

「えっ、あ、いや、そんなことねーよ。むしろ居て欲しいっつーか……」

「ありがとう、1人の時間を邪魔してごめんね。和海くん猫飼ってたんだね、知らなかったよ。可愛いね、この猫」

「ああ、こいつは飼ってるっつーか飼わされてるっつーか……。ていうかこいつ全然可愛くねーよ。偉そうだし、エロいし、高いキャットフードしか食わねえし……」

「えー、可愛いと思うけどなあ。私猫好きだなあ」

私は猫を抱きかかえてみた。うん、やっぱり可愛い。

「ほら、大人しいし、可愛いよ」

「それはお前が女だからであって、俺だと小便かけられたり引っかかれたりするんだぜ。こいつは女が好きなエロ猫だからな……」

「エロ猫なんだ……うん、でも可愛いよ。和海くんも酷いよね、こんなに可愛い猫を独り占めしちゃうなんて。私にも教えて欲しかったな」

「ご、ごめん……それには理由があって……」

「理由って?」

「……それは言えない、ごめんな」

「うーん、じゃあいいや。でも、これからはこの猫私も時々見に来ていいかな?」

「ああ。勿論だぜ。多分こいつも歓迎すると思う。その……オレもお前が居ると嬉しい、し……」

「うんっ!」
キンコーンカーンコーン

「……あ、昼休み終わりだ、残念。じゃあもう行くね。……あ、明日からここに来ていいんだよね」

「ああ、歓迎する。オレはもう少しこいつと遊んでいくよ」
* * * * * * * * * * * * * *

「……ビックリした、まさか由紀が……ああああああ! すげえ幸せかも」

「さっきのおなご、もしかして貴様が好きな女とやらかにゃ? なかなかの美人にゃ。それに揉み心地の良さそうなぱいおつだにゃ、吾輩ああいうおなご好きにゃ」

「そうかよ……、オヤジみたいだなこのエロ猫……。言っとくけど由紀はやらないからな、オレの恋応援してくれるんじゃなかったのかよ」

「無論そのつもりだにゃ、ふふふ……まぁ楽しみにしているがいいにゃ」

「ふ、不安だ……!!」

「決戦は金曜日だにゃ」

「ていうかお前何で由紀の前だと普通の猫みたいにしてたんだよ」

「吾輩は普通の猫だにゃ、貴様の恋が叶った瞬間吾輩は喋らない猫になるにゃ」

「は? なんだそれ、オレ聞いてねーぞ! ていうかそんなの誰が決めたんだよ……」

「そういうことにしとくにゃ。ということで、貴様の恋を応援してるにゃ」

「なんだよそれ……」

「寂しいのかにゃ?」

「べっ、別に寂しくねーし!」

寂しくないというのは嘘だった。オレは猫相手にも素直になれないのかと思った。

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登場人物紹介

和光由紀 

ヒロイン、だけど周りの女装男子が可愛すぎて霞む。転校生。Gカップ

東十条 静香ちゃん

全6話構成。身長が低いコンプレックスに悩む。親に放任されつつ、監視されている。庭園でお茶したり、読書することが好き。

能代 准ちゃん

全5話構成。学園の女子人気殆どを占める。女の子が好きで、彼女がたくさんいる。楽しいわけではない。

豊前ミカゲちゃん

全8話構成。弓道部のエース。静香様の下僕。静香様をお慕いしている。少女漫画や、ファンシーなものがすき。性同一性障害の気がある。

千倉玲ちゃん

全7話構成。おっぱい魔人。常におっぱいのことを考えている。由紀のおっぱいがお気に入り。

恵村和海ちゃん。

全6話構成。純情少年。喋る猫がでてくるなんかよく分からない個別。

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