共通⑦

文字数 2,318文字

「みんな集まったみたいね」

由紀以外「り……理事長!」

「え? 理事長? 叔母さん理事長だったんですか!?」

「こんにちは、由紀ちゃん。この学校での1日、楽しんでくれたかしら?」

「楽しめる訳ないですよ! もう散々でした! ここに居る子達みんな可愛いけれど個性が強すぎて疲れます! それに、なんというか、ちょっと変……」

「個性が強いのは良い事よ。みんな違ってみんないいっていう金子みすゞの詩だってあるでしょう? 実はね、彼女たちこの学校に来るまではそんなにパッとしない子達ばかりだったの」

「……え、全然そんな気配微塵も感じられないんですけど……」
「でも、ある制度があるから彼女たちの個性がさらに強くなり学校が華やかになったの」
「その制度って何なんですか?」
「それはプリンセス制度と呼ばれるもので私に選ばれた子達がね、するのよね」
「……何をですか?」

私は静まりかえった空気に思わずゴクリと唾を飲む。

「それはね――――女装よ」
「じょ……女装?」

「その名のとおり、男子が女子の恰好することだな」

「それは知ってるけれど……え…?」

「――昔、この学校は男子校だったの。それはもうむさ苦しい所だったわ。理事長になるにあたって学校見学に訪れた私は驚愕した。何でこんなに男臭いのってね。女の子の1人でもいれば少しは華やぐんじゃないのか、私はそう思ったわ。県に掛け合ってみたけれど、すぐに共学にするのは無理だった。その間どうにか出来ないかと考え付いたのがプリンセス制度なの。顔が可愛い男の子を入学の時に3人選び、女装させることで学校を華やかにしようって。そうすることで雰囲気だけでも華やかになるでしょう?ちなみに3年は受験で忙しいからこの制度が通用されるのは2年生までね」

「は、はい……」

「見事に5年前から共学になったけれど今でも女子の数は数える程しか居ない。だから、この学校の教訓として永続することにしたの。可愛い男の子には女装させよってね」

「は、はぁ……」
「という訳で彼女達、とっても可愛いけれど性別は男なのよ。属にいう男の娘ってやつね」
「うそ……こんなにみんな可愛いのに男の子なんだ……」

私はじっと6人を見回した。みんながみんな可愛くてとても男の子だとは思えなかった。

「それで、何で彼等を私に紹介したんですか?」
「あなた、男性恐怖症じゃない?まずは外見から慣れて貰おうかと思って見た目が可愛い男の子を用意してみたの。彼等と仲良くなることで男性への恐怖心を取り払って貰おうと――」

「いやいや! 中身男の子ならそれって意味なくないですか!? とにかく、私はこのままでいいので! この学校の数少ない女の子と静かに暮らしていきますから!」

「それは無理だな」

「……どうしてですか?」

「この学校の女子は皆プリンセス制度の誰かのファンクラブに属している。そして俺が転校生は6人全員を実は下僕に従えていると公言した」
「は!?!?」
「ごめんなさい、私が鷹斗に指示させたの。だってそっちの方が面白そうだし。何しろこれであなたは穏便に暮らせなくなった」
「お、脅しだ……!」

「ねえ、男性恐怖症直してみない?貴方このままじゃろくに結婚も出来ないわよ。男性恐怖症を治して恋の一つでもしないと一生処女のままよ」

「ほっといてください! 私は結婚もするつもりありませんし一生処女でいいです!私は二次元さえあれば生きていける女なんです!三次元なんていらない!」

「なるほど、これがリアル喪女」

「うわ~~、寂しい~~」

「そこ!ほっといて下さい! ……私は小さい頃に男に厭らしい目で見られてから男が苦手で、女子高育ちで男に免疫がなくて……だから今更克服とか無理なんです……怖いんです、男の人が……」

「……由紀さん、恐怖症、僕たちが治すのを手伝います。今はまだ苦手かもしれないですが、少しずつ時間をかけて治していきましょう? 大丈夫、怖い事なんてしないと約束しますから。……ね?」

「そうだよ! 玲も手伝う! 智ちゃんにだけかっこいいとこ見せられないんだから!」

「……僕も。仕方ないから手伝ってあげるよ、感謝しなよ?」

「私も由紀様の恐怖症が治りますようにお手伝い致します」

「勿論俺も。由紀ちゃんに好かれるよう努力するよ」

「オレだって。お前と一緒に楽しい時を作っていきたいって思うし……」

「みんな……ありがとう」

「みんないい子達ばかりでしょう?あなたのお母さんと約束したの。必ず男嫌いを治してみせるって。私的にはぜひ引き受けて欲しいのだけれど――」

「……分かりました、彼らと男性恐怖症を克服したいと思います」

「由紀さん……! えへへ、嬉しいです。頑張りましょう」

「ありがとう。それじゃあいい学生生活を送れるよう、祈っているわ」

「……はい。みなさん、これからよろしくお願いします」

「よろしくね~!克服した暁には絶対玲ちゃんとらぶらぶしようね~!」

「何言ってんの千倉。由紀ちゃんはもう俺の魅力に釘づけなの。お前のようなお子様は相手にされないで終わるに決まってるじゃん」

ここで由紀の男嫌いを克服して意識を俺に向けさせれれば恋人になることだって……ぶつぶつ

「僕は奴隷が一匹増えればそれだけで満足だけれどね」
「私は……お友達になって頂ければ……」
「あはは……みんな面白いなあ」

「由紀さん。これから先、よろしくお願いしますね。そして、あわよくば僕と――」

「ええ!? 智ちゃんまで!?」

こうして、6人の可愛い男の娘たちと一緒に私の波乱の学園生活が始まった。出会った男の娘たちはみんな個性が強いけれど根は良い子達だって思っている。きっと大丈夫。男性恐怖症を克服して私も普通の女子高生のように恋が出来るように頑張ろう。

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登場人物紹介

和光由紀 

ヒロイン、だけど周りの女装男子が可愛すぎて霞む。転校生。Gカップ

東十条 静香ちゃん

全6話構成。身長が低いコンプレックスに悩む。親に放任されつつ、監視されている。庭園でお茶したり、読書することが好き。

能代 准ちゃん

全5話構成。学園の女子人気殆どを占める。女の子が好きで、彼女がたくさんいる。楽しいわけではない。

豊前ミカゲちゃん

全8話構成。弓道部のエース。静香様の下僕。静香様をお慕いしている。少女漫画や、ファンシーなものがすき。性同一性障害の気がある。

千倉玲ちゃん

全7話構成。おっぱい魔人。常におっぱいのことを考えている。由紀のおっぱいがお気に入り。

恵村和海ちゃん。

全6話構成。純情少年。喋る猫がでてくるなんかよく分からない個別。

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