ミカゲルート⑥

文字数 945文字

「今日は買い物に付き合ってくれてありがとうございました。本当に楽しかったです」

「はい。私も楽しかったです。また一緒にこうして遊びに行きましょう」
「勿論です。由紀様といるのは凄く楽しいですから」
ふっと私を穏やかな優しい目で見るミカゲさん。

「……私、1度でいいから女同士でこうして女の子と遊んでみたかったのです。町で仲良さそうにしている女の子達を見るたび羨ましいと思っていました。今日はその夢が叶いました。由紀様、貴方のおかげです」

「ミカゲさん……。私はミカゲさんの夢を何でも叶えてあげたいです。あ、私で叶えられる範囲になるんですけどね。あはは」
「由紀様……。じゃあ、今日の記念としてプリントシール一緒に撮りませんか?」

「プリクラですか? はいっ! 勿論です!」

プリクラ機の中に入るとミカゲさんは興味深そうに周りを見回し、落ち着かなそうにしていた。

「小顔効果……? 美白? フレーム……?」

「あはは……お気持ち物凄く分かります。何でもいいですよ。好きなの選んでください」
「そうなんですか? それじゃあこれとこれと……」

ピッピッとミカゲさんはプリクラ機を操作する。しばらくしてプリクラの撮るよーという音声が流れた。

「……由紀様、こちらを向いて頂いてもいいですか」

「? なんですか?」
「……チュッ」

私が振り向いた瞬間、ミカゲさんとの唇が重なった。そうして出来た写真は、私とミカゲさんがキスをしているものだった。

「……え、今の……キス?」

「女子高生たちの間ではチュープリと呼ばれるものが流行っているんですよね? 友達同士でキスをしながらプリクラを撮る――つまりはこういうことでは?」

「――それって、ミカゲさんの中の私ってただの友達だっていうことですか?」

「どういうことですか? 由紀様と私は友達ではないのですか?」

それはミカゲさんにとって私は女友達だという程度の存在でしかないの? それ以上の関係にはなれないの? そう思うと泣いてしまった。だめだ、ミカゲさんに涙は見せちゃだめ。気持ちを押し付けたら厚かましい女になってしまう。

紀「……いえ、ミカゲさんと私は友達です。変なことを言ってすみませんでした。帰ります。今日はありがとうございました」

「あっ! 由紀様! ……涙? 由紀様、泣いていた……?」

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

和光由紀 

ヒロイン、だけど周りの女装男子が可愛すぎて霞む。転校生。Gカップ

東十条 静香ちゃん

全6話構成。身長が低いコンプレックスに悩む。親に放任されつつ、監視されている。庭園でお茶したり、読書することが好き。

能代 准ちゃん

全5話構成。学園の女子人気殆どを占める。女の子が好きで、彼女がたくさんいる。楽しいわけではない。

豊前ミカゲちゃん

全8話構成。弓道部のエース。静香様の下僕。静香様をお慕いしている。少女漫画や、ファンシーなものがすき。性同一性障害の気がある。

千倉玲ちゃん

全7話構成。おっぱい魔人。常におっぱいのことを考えている。由紀のおっぱいがお気に入り。

恵村和海ちゃん。

全6話構成。純情少年。喋る猫がでてくるなんかよく分からない個別。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色