ミカゲルート①

文字数 1,278文字

分かっています。

私がいくらお化粧をして可愛いお洋服を着てブラジャーを付けて言葉を真似てみても本物の女の子にはなれないことなど。



分かっています。自分が男であることなど。分かっています。彼女に対する私の気持ちなど、理解しているのです。



けれど怖いのです。

その気持ちを認めてしまうと自分が本当に男の子になってしまう気がするのです。

どうやら私は人生における究極の選択を迫られているようです。



女の子でいたい、けれど彼女に認めて貰うため男でありたいと思う。



これって、いけないことなんでしょうか。

百合の一線を越えてしまったのでしょうか。

豊前ミカゲさん。

校内でその存在を知らないくらいの美人な彼。

その黒髪に誰もが振り返り、男をみな虜にする。弓道部で的を射ている時を見かけたが、的と一緒に私の心も射抜かれたような思いになった。



凛としていて、美しい。花に例えるならば静かに咲く可憐な撫子の花。

そんなミカゲさんの裏の姿を私は知っている。



少女趣味で乙女ちっくな思考でとても可愛いミカゲさん。彼といるとすごく楽しい。私はいつからかミカゲさんのことが大好きになっていた。

* * * * * * * * * * * * * *
ミカゲ、お前最近嬉しそうだね。何か楽しい事でもある訳? 教えなよ
静香様……
むっ……何その顔。僕に話したくないって訳?いいの?そんな態度取っても
静香様に報告することようなたいそれたことでもないので
――いいなよ
……由紀様とお友達になりたいって言ったらもう既にお友達だよって言ってくれました
一応聞いておくけれど、それは女の子としてのお前? それとも、男としてまずはお友達から、あいつと仲良くしたいっていうこと?
男としての自分は出さないつもりです
ふうん……一応忠告しておくよ。ミカゲ! お前は生まれてからずっと僕の下僕(しもべ)。離してなんかあげない
はい
そして、男だ。お前は、女の子じゃなくて男の子
……はい
男女間の間に友情は一切存在しない。あるのは下心だけ。何処かで性欲と繋がっている。主に男が女と繋がりたいって思い始める。意識し始めるとそればっかりだ。覚えとくといいミカゲ、お前があいつに下心を覚えた時点でその友情は破綻する。そして、お前はその瞬間から女の子じゃなくなる
……はい、わかっております
うん、僕からはこれだけ。じゃあせいぜい頑張りなよ。僕は一応お前のご主人だからね。応援してるよ、ミカゲ
ありがとうございます、静香様

静香様は、私が記憶もないほど幼い頃からの主人で、私は静香様を本当に尊敬している。私は、孤児でまだ右も左も分からない時に施設に預けられた。

今でも本当の両親の顔も見たことがないけれど、そういうものだと思って生きている。


虚無だけが渦巻いて生きている心地がしなかった私に手を差し伸べてくれたのが静香様だ。本当に優しくしてくれて、どれだけ感謝しても感謝しきれない思いでいっぱいだ。


だから、静香様の言っていることは正しい。けれど私の彼女のことを想うこの気持ちは、何なのだろう。私は初めて感じる己の感情に戸惑うことしかできないでいた。

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登場人物紹介

和光由紀 

ヒロイン、だけど周りの女装男子が可愛すぎて霞む。転校生。Gカップ

東十条 静香ちゃん

全6話構成。身長が低いコンプレックスに悩む。親に放任されつつ、監視されている。庭園でお茶したり、読書することが好き。

能代 准ちゃん

全5話構成。学園の女子人気殆どを占める。女の子が好きで、彼女がたくさんいる。楽しいわけではない。

豊前ミカゲちゃん

全8話構成。弓道部のエース。静香様の下僕。静香様をお慕いしている。少女漫画や、ファンシーなものがすき。性同一性障害の気がある。

千倉玲ちゃん

全7話構成。おっぱい魔人。常におっぱいのことを考えている。由紀のおっぱいがお気に入り。

恵村和海ちゃん。

全6話構成。純情少年。喋る猫がでてくるなんかよく分からない個別。

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