和海ルート②

文字数 1,382文字

「はー……勢いで教室飛び出しちまったから戻りづれーな……」

いつもそうだけれど勢いでやってしまってから後悔をする。思っていることを素直に出来たら楽なんだけれどな。がさがさっとしげみが揺れた。何者だと構えてしまったが、しげみから現れたのは猫だった。

「にゃー……」

「……!? って、なんだ猫か。…ったく、脅かすんじゃねーよ」

猫は俺の前で伸びをすると、あくびをして寝る体勢になった。

「猫はいいよな……人生が楽そうで。はぁー、オレもお前みたいに気ままに生きてみたいもんだぜ。……よっと」

猫は嫌いじゃない。むしろ大好きだ。オレはこの目の前の猫を手に抱いて撫でたり尻尾をくにくにしたりした。

「猫癒されるなぁ……特にこのふわふわな尻尾……最高だぜ」

「おい、貴様、やめんか。汚らわしい手で吾輩に触れるなにゃ」

「……!? なんだ、今なんか幻聴が聞こえた……?」

見渡す限りここにはオレだけしか見つからないのにどこから聞こえたのか分からないけれど確かに声がした。いや、本当は声の発信源は分かっているけれどどこからかは信じたくないだけだ。

「聞こえなかったのかにゃ。 お前の汚らしい手で吾輩を抱きかかえるでないにゃ」

「……もしかしてオレ耳がおかしくなったのかな。おかしい、手の中の猫が喋っているように聞こえるなんて……」

「信じろ、これが現実にゃ」

「うわ、うわあああああああああああああ!! 猫が……猫が喋ってる!!!!!!!」

「吾輩も男に触って欲しくなかったにゃ。可愛いおなごなら大歓迎だがにゃ。……それで、貴様何か悩んでいることがあるであろう、吾輩に話してみるがいいにゃ」

「悩んでいること……? なんでお前に話さなきゃいけねーんだ……」

「いいから話してみるにゃ、吾輩が解決してやろうと言っているにゃ」

「うーん……胡散臭いけど、いっちょお前に話してみるか」

この猫がオレの悩みの何を解決してくれるんだろうと疑問を持ったものの、話してみることにした。

「……ということなんだ、好きな子に素直になれなくて困ってる。というかオレがそいつのことを嫌っていると思っているくらい素直になれないんだ……」

「ふむ、大体は理解したにゃ。吾輩は思ったにゃ。それは貴様が童貞なのが原因だにゃ。これで解決したにゃ」

「いやいや、ちょっと待て! オレが童貞なの何でわかったんだよ! というかそれは関係ねー! ……多分」
「貴様の様子を見ていれば一目で童貞だって分かることだにゃ。それともそれは間違っているかにゃ?」

「悔しいけど当たってるよ! 今まで女の子と付き合ったこともない童貞だよ! ていうかそんなこと言うお前はどうなんだよ!」

「吾輩はおなごを孕ませまくりだにゃ。可愛いおなごを見つけては即ハメにゃ。にゃんこ界隈で知らない猫は居ないほどのヤリチンだにゃ。尊敬するがいいにゃ」

「いや、それは尊敬したくない。というかそれは誇れることじゃねえ! けどなんか羨ましい!」

「ふふん、そんな吾輩が思うに、貴様は恋愛経験値が足りないにゃ。そんな貴様に吾輩がとことん恋愛について教えてやるから光栄に思うがいいにゃ」

「猫に教わるなんて――」
「……童貞」

「恋愛経験ゼロの童貞のオレに教えてください、お願いしますお猫様!」

こうして、オレはこのクソ猫(脳内でそう呼んでる)に恋愛についての心得を教わることになり、日々特訓をすることとなった。

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登場人物紹介

和光由紀 

ヒロイン、だけど周りの女装男子が可愛すぎて霞む。転校生。Gカップ

東十条 静香ちゃん

全6話構成。身長が低いコンプレックスに悩む。親に放任されつつ、監視されている。庭園でお茶したり、読書することが好き。

能代 准ちゃん

全5話構成。学園の女子人気殆どを占める。女の子が好きで、彼女がたくさんいる。楽しいわけではない。

豊前ミカゲちゃん

全8話構成。弓道部のエース。静香様の下僕。静香様をお慕いしている。少女漫画や、ファンシーなものがすき。性同一性障害の気がある。

千倉玲ちゃん

全7話構成。おっぱい魔人。常におっぱいのことを考えている。由紀のおっぱいがお気に入り。

恵村和海ちゃん。

全6話構成。純情少年。喋る猫がでてくるなんかよく分からない個別。

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