第37話:不景気と両親の葬儀

文字数 1,540文字

 実質GDP成長率は4、6月期、7、9月期のマイナス幅は前期比年率換算で3.5%に拡大。内閣府は10月、景気の基調判断で3年6カ月ぶりに「悪化」の表現を用いた。緩やかな拡大局面が続いていた景気は、既に3月頃に「山」を越え、後退局面に入ったとも指摘される。日銀は2月、「当面1%」という事実上のインフレ目標を導入して金融緩和姿勢を強化。秋には2カ月連続の追加金融緩和に踏み切った。

 欧州債務危機は、ユーロ圏の崩壊といった最悪の事態は回避したが、依然として続いた。震源地ギリシャでは、5月の総選挙で緊縮財政反対派が躍進し連立交渉に失敗。6月の再選挙で、ユーロ残留を目指す緊縮派が過半数を確保したが、国際通貨基金「IMF」や欧州連合「EU」との第2次支援の交渉は年末までもつれ込んだ。

欧州連合「EU」に残れるかどうかの瀬戸際に立つギリシャでは、銀行預金を引き出す動きが加速。このままだとギリシャが、EUの共通通貨「ユーロ」から離脱する可能性があるため預金者達が不安になり預金引き出しのため大勢の国民が銀行に押し寄せた。海外メディアは、ギリシャのパプリアス大統領が5月14日だけで、8億ユーロ「約817億円」が引き出されたことを明らかにした。

 ニュースでもギリシャの銀行に預金を引き出す国民の長い列が放映された。ただ、欧州中央銀行「ECB」が9月に、スペインなどの国債を無制限に買い上げる方針を表明。10月には、危機国に最大5千億ユーロの支援融資を実施できる欧州安定機構「ESM」も発足し、危機国の国債利回りはやや低下、ユーロ相場も反発に転じている。

 2012年5月には、長男の伊藤隆二も学生時代からのガールフレンドの2つ年下の吉村節子さん結婚して、池袋のマンションに引っ越していった。そのため伊藤光一夫妻は、掃除が大変で2階に行くこともなくなったので、すぐ隣の両親の平屋に住むことにした。そして、大きな4LDK総2階の自宅を近くの大学の学生寮として月15万円で貸し出した。

 2012年6月4日朝、キーエンス株の気配値が17140円にあり、成り行き1万株買いを実行し17140万円で買えて伊藤光一の残金が47860万円となった。

 2013年2月2日、伊藤実一が89才で、心不全で亡くなったと連絡が入ったが、母の伊藤幸代も痴呆症が進み、心臓も弱っていたので、伊藤光一が、近親者のみで葬儀を企画して、自宅に、お坊さんを呼んで地元で親しく元気な友人12人と小規模で葬式を行った。この頃、同年代のご老人が、相次いで亡くなったらしくお坊さんも忙しいと話していた。

 近くの伊藤家の菩提寺に葬って2月7日、葬儀を終えた。その後、2月23日、後を追うようにして、母の幸代さんも87才で、同じように心不全で亡くなり、2月26日、自宅で近親者だけを呼んで葬儀を終えた。両親の葬儀を終えて、1つの時代が終わったような一抹の寂しさを覚えた。しかし、今度は、自分たちが、この故郷、子、孫を引っ張っていかねばならないと言う気持ちになった。

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」が始動。1つ目、金融緩和。2つ目、財政出動、3つ目、成長戦略の「三本の矢」を好感した市場では年初から円安・株高が進み、景気回復ムードが高まった。特に黒田東彦総裁を迎えた日銀は4月4日、消費者物価上昇率を2年で2%に引き上げる目標を掲げ、大量の国債買い入れで資金供給量を倍増させる「異次元の金融緩和」を決定。

 政権交代前に比べ、円相場は1ドル103円台と20円超も下落し日経平均株価は一時、約2倍の1万6000円近くまで上昇した。ただ、第3の矢である成長戦略の実行は遅れ気味。デフレ脱却は道半ばで、カギを握る賃金増にも不透明感が残っている。
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