第38話:久光先生の遺産の株を売却

文字数 1,850文字

 11月8日、フィリピン中部を超大型の台風30号が直撃。レイテ、サマール島を中心に甚大な被害をもたらした。死者と行方不明者は合わせて7500人を超え被災者総数は1220万人を上回った。両島には日本人133人が居住しいるが、外務省は全員の無事を確認。日本はフィリピンの被災地に自衛隊員約1180人を投入し物資輸送や医療・防疫など国際緊急援助としては過去最大規模の活動を展開。

 米軍も空母「ジョージ・ワシントン」を派遣するなど、多くの国や団体が支援に当たった。しかし、被害の傷痕は深く、フィリピン国家災害対策本部によれば、被災地の完全な復興には3から5年かかる可能性がある。一方、中国では、大気汚染が深刻化し、白いスモッグの中をマスク姿の市民が歩く光景が各地で頻繁に見られるようになった。

 原因は車の排ガスや石炭燃焼から発生する微小粒子状物質「PM2.5」。暖房に石炭を多用する冬場は特に汚染が広がり、中国の大気汚染指数で最悪の「深刻な汚染」が記録された。呼吸器系疾患の患者が急増、航空便の欠航や小中学校の休校など市民生活にも影響を与えた。PM2.5は日韓両国などにも一部が飛来。中国を訪れる日本人観光客が減少する一因にもなっている。

 そして2014年を迎えた。ウクライナで2月に親ロシア派のヤヌコビッチ政権が反政権デモで崩壊し、親欧州連合「EU」派政権が発足したのを受け、ロシア系住民が多数を占める南部クリミア半島にロシアが軍事介入し、3月に編入に踏み切った。武力を背景に領土拡大を強行したロシアの行動に、冷戦後の国際秩序は大きく揺らいだ。

 その後ウクライナ東部でも、ロシアが後ろ盾の親ロ派武装勢力と政府軍が激しい戦闘を続け、死者は4千人を超えた。7月には東部上空でマレーシア機が撃墜され、298人が死亡する悲劇も起きた。欧米や日本は、ロシアが事態収拾に応じていないとして、制裁を発動している。

 その他、春には、韓国南西部の珍島沖で4月16日、旅客船「セウォル号」が沈没し、乗客乗員304人が死亡・行方不明となった。事故は船体の改造や過積載で復原力が低下した状態で、急にかじを切ったため発生。犠牲者の多くは修学旅行中の高校生だった。乗客を残したまま、真っ先に、脱出したイ・ジュンソク船長ら乗員の行動も、世界的にも、あり得ない行動と言わざるを得ない。

 また、利益優先の船会社の経営体質やずさんな行政の監視・救助体制も問題視され、関係者約400人が立件された。一審の光州地裁は船長に対し、遺棄致死罪などで懲役36年の判決を言い渡した。事故直後の政府の対応は世論の批判を浴び、朴槿恵大統領の支持率低下につながった。

 2014年8月20日、広島市北部で豪雨に伴う土石流が複数箇所で起き、多数の住宅が流された。未明の発生で被害実態がすぐに把握できず、断続的に降り続いた雨のため捜索も難航。最終的には安佐南区の八木、緑井の2地区を中心に死者は74人に達した。避難指示・勧告は一時15万人以上に出され全面解除迄に3カ月要した。

 広島地方気象台は災害当日の午前1時49分に非常に激しい雨を示す「1時間70ミリ」の予測を発表し広島県全域に土砂災害への警戒していた。しかし広島市は災害発生後の4時すぎに避難勧告を出すなど情報が生かされず対応の遅れが指摘された。

 東京外国為替・株式市場では、10月末の日銀による追加金融緩和を機に円安・株高が急速に進んだ。12月に円相場は一時1ドル・121円台に下落し、日経平均株価は取引時間中に1万8000円を回復した。いずれも2007年7月以来、約7年5カ月ぶりの水準だ。

 4月の消費税増税後、日本経済がもたついている一方、米国は景気回復で金融の量的緩和策を終了した。米国につられる形で日本の株価も上がり、外為市場ではドル買いが優勢となった。ただ、円安で原材料・燃料の輸入価格は上昇し、食品や日用品が値上がりするなど、家計や中小企業に対するマイナスの影響も広がっている。こうして2014年が終わり2015年を迎えた。

 2015年1月22日、早朝、SPDRゴールド・シェアの気配値14610円と出たのを確認し全株・2万株の成り行き売りを実行、2万株全部売れ、税引き後利益が26000万円で残金が41600万円となった。この頃、鶴川の郊外で、農家をやっていた両親が高齢でなくなったり、老人ホームに入って、残された子供たちが土地を売りに出しても買い手がつかなくて困っていると言う話が相次いだ。
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