第2話:神武景気と絹代さんに救われる

文字数 1,632文字

 家を出る時、但馬絹代さんが餞別『せんべつ』として5万円を渡してくれた。伊藤夫妻は、頭を下げ、長い間本当にお世話になりましたと言い涙流し別れた。しかし、但馬絹代さんは、息子の伊藤光一を乳飲み子の頃からみていたので可愛いと思ってくれ、コロッケ、ハムカツや焼き鳥、焼きそば、焼き芋を持参し、遊びに来てくれる様になった。

 実は、但馬絹代さんは、子供ができにくい体質で、子供さんがいなくて伊藤光一を実の子のように可愛がってくれ、思い入れが強かった。そのため、その後も長い間、お世話になり続けた。月日はたって1966年を迎え、伊藤光一が小学校へ入る時、但馬絹代さんも喜んでくれ、黒いランドセルを買って祝ってくれた。そして、良く、ここまで元気で育ったと言うと涙を流した。

 それは、伊藤夫妻が、逆境にもめげず、けなげに生きている姿に感動したからだと、話すと、大人4人が、感涙の涙が、止まらなくなった。それを見て、光一は、なんとなく、うれしくなった。この晩は、お祝いに鶏の丸焼きとコロッケを買ってきてくれ、4人で、夕食を共にして、但馬絹代さんは、また来ますので宜しくと言って家に帰っていった。

 ところが、その後、但馬絹代さんが、なぜか、伊藤家のマンションを訪ねてこなくなった。そこで気になって調べてみると絹代さんが、病院に通っているという情報を得た。そこで、伊藤幸代が、気になって、但馬家を訪ねた。すると、絹代さんの夫の健介さんが、絹代は、不妊症で子供ができなかったが、子宮筋腫だったと告げた。それが、以前、子宮がんとなり体調を崩したと教えてくれた。

「最近の検査で乳がんを併発した事がわかったと打ち明けた」
「そして老い先が短いと、ぽつりと語った」
「それを聞いた幸代は、嘘でしょ、そんな可哀想な事ってあるのと言い号泣」
「私たちは、彼女に、お世話になり、恩返しをしようと思っていたのよと語気を荒げた」

「なんで、神様は、こんな素晴らしい人に罰を与えるのと泣き続けた」
「気を取り直し我に返り彼女が生きている間だけも恩返しすると告げた」
「そんなに彼女の事を気遣ってくれ、ありがとうございますと旦那さんが述べた」
「すると、当然だわと言い返し、入院してる病院と病室を聞き出した」

「1967年4月11日、絹代さんが入院している町田市民病院へ向かった」
「伊藤夫妻が、入院先に、お見舞いに行くと、驚いたような目で見た」
「どこで聞いたのと言うので、旦那さんからと言うと、柔和な笑顔になった」
「ついてないわ、こんな事になるなんてと言った」

「考えてみれば結婚してから、ついてない事ばかりと過去を振り返った」
「でも伊藤光一君に巡り会えて、良かったと言った」
「だって子育ての体験でできたのだからと言うと涙を流した」
「子供って、本当に可愛いと言い、号泣した」

「光一君が、我が子の様で本当に楽しかったと懐かしんだ」
「次回は、光一を連れてきますねと言うと、是非、会いたいわと喜んでくれた」
「そんな話を30分程して体に悪いからと言い、また来ますと言った」
「自宅に帰って、光一に話すと、助かるのと聞くので、たぶんねと母が答えた」

「4月16日、光一を連れ病院を訪ねると絹代さんの顔色が良くなった」
「顔に赤みが差し、元気になったような気がする」
「絹代さんが、光一に、小学校で友達できたとか、彼女もできたのと聞うた」
「まだ、無理だよと、笑いながら光一が答えた」

「君なら、きっと彼女できる、おばちゃんが保証するよと笑った」
「今日の絹代さんは、前回と変わって饒舌『じょうぜつ』」
「おばさんの元気な姿を見られて楽しいと言うと、光一を抱き寄せた」
「心の優しい子に育って、うれしいよ言いながら涙を流した」

「光一が、早く退院して元気になってねと言うと絹代さんが号泣」
「その光景を見て、幸代は、なぜか、胸騒ぎがした」
「おばちゃん疲れるから帰ろうと言うと絹代さんが、名残惜しそうな目で見た」
「帰り際、光一君の事、絶対に忘れないよと声をかけた」
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