第20話:面白い先生との出会い

文字数 1,769文字

 この頃、伊藤光一は、十日町病院に週に1回、診療に来る、新潟大学精神科の久光先生を知り合った。この先生を内科の池内先生から紹介してもらい仲良くなり、たまに、午後、上越新幹線の浦佐駅まで送った。最初の出会いは2年前、池内先生が、新潟大学に名物先生がいると教えてくれた。彼は、大学では、通称、新潟のアインシュタインと呼ばれていると紹介した。彼は、東大理工学部の物理学科、理論物理学科を卒業。

「彼は、理論物理学は物を相手にして決まり切った事だけで、それを追求していても面白くないと言い、大学の授業に出なくなった」。
「その代わり、鶯谷、日暮里、錦糸町の安い飲み屋、バー、キャバレー、ソープランドに通い詰めて、個性的な女性を相手に話をし始めた」。
「そこで得た話を短編小説として発売」。
「書いてある内容が、やばいので大手出版社は裁判所が怖くて出版できない」。

「そこで神田周辺の古書店の店主が集まって、短編集の文庫本を非正規なルートで印刷して100冊製本し1冊千円で売り出した」
「すると3日で売り切れ、千冊増刷し店頭に本を置かずに、口コミで、本ありますとか、店先に、本の名前を書き出した」
「その噂を聞きつけた学生さん小説好きの人達が殺到して1週間で完売」
「次に、1万冊を増刷し、神田で3千冊、その他、全国の書店に置いた」

「全国の大都市の主要大型書籍店で合計7千冊を百冊単位で置いてるそうだ」。
「それがどこの本屋にあるかも一切、情報を明かしていない」。
「それが半年で売り切れて、その本の古本にプレミアがついたらしい」。
「その後も詳細不明だが、どうやら増刷してるらしい」。
その本が英語に翻訳され世界で売れ始めてるらしいと話した。

 それを聞いて興味を持った伊藤は、内科の池内先生に、飲み会をする時、十日町に知り合いの飲み屋があるから、そこの個室で一度、話を聞いてみたいと言い、面会させととお願いした。飲み代は、もちろん、私が出しますと伝えた。それから数週間後、1987年5月7日火曜、池内先生から来週火曜、久光先生が来て19時から一緒に飲む事になったと知らされた。

 そして当日は、伊藤光一は、18時過ぎに、仕事を切り上げ、居酒屋、妻有の個室4畳半ほどの部屋を1室、借りた。18時半頃、池内先生から電話で19時前に着くと言われ、店の前で待っていると店の前でタクシー他止まり、伊藤が外に出ると池内先生が出てきて挨拶し2人を部屋に案内した。部屋に入り、ビールにしますか日本酒の冷や、熱燗にしますかと聞くと最初ビールでと言われ注文。

 その後、飲み会が始まり、池内先生が久光先生に、彼がSG製薬のプロパーの伊藤光一で、この病院を担当してる東京出身で横浜国大理工学部化学科出身と紹介してくれた。すると久光先生が、君か、変わり者の僕に興味を持ったという男はといい、じっくりと顔を見た。
「ところで東京のどこ、と聞かれ町田市の郊外の鶴川と言うと何だ田舎じゃんと言い放った」

「すると、伊藤が、先生は、横浜出身ですんねと言うと、鋭いねと言った」。
「だって、『じゃん』を使う男は、横浜位しかいないと指摘」。
「鋭いねと言い、きれる男は、好きだと言った」。
「今日は何が聞きたいのと聞くので、先生の全部と言うと、久光先生は、そうかと、うれしそうに豪快に笑った」。
その時、障子が開き、生ビールの大ジョッキが3つ運ばれてきた。

 そこで、最初に、久光先生との初の出会いのために乾杯と。伊藤が、言うと、ジョッキをぶつけて、乾杯した。
「ジョッキを下ろすと、じゃー、僕の独演会と言うことで良いねと聞くので、伊藤が、結構です、宜しくお願いしますというの上機嫌で、じゃー始めると言った」。
「実は、小さい頃から数字が好きでね、幼稚園に入り公園で遊ぶ様になると、石を投げて、石が地面に落ちるのを見て、何故と思った」。

「世の中、森羅万象『しんらばんしょう』には、全て法則があると気づいた」。
そして、その法則を全部知りたくなった。
「その後、小学校に入ると決まりきった事を教えてくれたが、退屈で、ひらがなを思え、あらかたの漢字も覚えた」。
「3年生の時には、子供向けの科学の本を毎日、読んで、おおよその所まで知り、小学校を終了」。
「中学になると英語、かけ算、音楽、絵を勉強したが、次に物のどおりが知りたいと思った」。
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