関口 陽(ひなた) (9)

文字数 722文字

 三重の結界を張った。
 外側は「隠形」。
 一番内側は純粋な防御用。
 真ん中は、「結界」内に「何か」が入ってきた場合に検知する為のモノ。
「すまん……俺もあのチビと同じで霊感がほぼ(ゼロ)みたいなんだが……」
 「原宿Heads」のMC富三郎がそう言い出した。
「えっと……どこから外に出たらマズいんだ?」
「とりあえず、今居る場所から動かなけりゃ大丈夫っす」
「あの〜トイレ行きたくなったら?」
 続いて、「四谷百人組」の1人が手を上げてそう言った。
「大丈夫っす。誰かが外に出ても、結界の効力が消える訳じゃないんで」
「じゃあ、誰かがトイレ行く時は……トイレに行きたい奴と、もう1人誰か別のが一緒に行く事にする? 何か有った時の為にさ……」
 「四谷百人組」の藤井詩織が、そう提案。
「そうするか……」
 MC富三郎も賛同したが……。
 ……。
 …………。
 ……………………。
「どうしたんすか?」
 何故か、私に視線を向けていた。
「そう言や、お前が、トイレ行きたくなった場合は、どうすんだ?」
「……」
「どうした?」
「…………」
「嫌がらせやいじりじゃねえよ。お前がトイレに行きたくなったら、それをわざわざ外さねえといけないんなら、どうやって外すんだ? 俺達も何か手伝う必要があんのか?」
 ところが、「原宿Heads」の1人が、おずおずと手を上げ……。
「すいません、それと同じのを工事のバイトで使った事が有るんですけど……」
「何だ?」
「大丈夫っす」
「何で?」
「言うな」
「大人用のおむつをするのが普通みたいっす」
 一気に、空気が気まずいモノに変った。
「あ……あれ? なんか、あいつのカメラの映像が変っすよ」
 雰囲気を変える為か、「四谷百人組」の1人が携帯電話(ブンコPhone)を見ながらそう言った。
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