高木　瀾（らん）　（１２）

　遠隔操作された工事用車両４台を盾にしながら、第０棟と呼ばれる建物まで突撃。
　計算上は、ここから先は敵の銃弾の命中率が下がる筈の中間地点を突破。
　工事車両には穴がいくつか空いたが動作には問題が無い模様。
　幸いにも人には命中していない。
　そして、目標の建物に辿り着き……。
「全員、散開ッ‼」
　続いて遠隔操作された工事車両が一端、後退。
　中から「寛永寺僧伽」のメンバーが何人か慌てた様子で出て来るが……。
　轟音。
　工事車両が建物の壁に激突。
　刑務所の建物と言っても、あくまで面会などの用途が主らしく……一撃で壁に穴が空いた訳では無いが……ヒビは入る。
「て……てめえら……何してやが……」
　私は、そう叫んだスキンヘッドの１人の腹を銃撃。
「ぐへっ」
「く……くそ……臨……兵……鬪……んあがッ⁈」
　続いて呪文を唱えようとした別のスキンヘッドを、ＭＣ富三郎が、ポテ手のままジャンプして、横ッ面(つら)に前蹴り。
　その近くで、印を組んでいたヤツの……肝心の手首から先が藤井詩織によって斬り落され……すごい、右手首を下から断ち切った次の瞬間、刃を反転させて左手首も斬り落した。
「へ……え……ええええッ⁉」
　不幸な阿呆が、自分の体の一部が無くなっているのに気付くまで一〇秒前後。
「お前さ……お前が命知らずだったせいで、彼女にフらたとか言ってたよな？」
　関口が近くに居た奴を愛用の大型ハンマで面白顔左衛門に変えながら軽口を叩く。
「それが何だ？」
　私は、目の前に居た男の股をくぐり、鎌型短剣(カランビット)で、そいつに去勢手術。
「ぐええええッ‼」
「お前、まさか、その『彼女』をこんな事態に巻き込んだせいでフられたの？」
　私は、さっき子種を断った男の背後に回り、頭を掴み……と言っても普通は髪を掴む所だが、肝心の髪が無いので、両目に指を差し込み……そして、叫び声をあげている口に……。
「その件なら、顧問弁護士の助言に基き、黙秘権を行使させてもらう」
「○×△◇∴∈……ッ‼」
「何だよ、その、顧問弁護士って？」
　関口は別の奴の腹に大型ハンマを叩き込み……そして、関口の相手は口から血を派手に吹いて、地面をのたうち回った。
「私の顧問弁護士のスタン・ロッドさんだ」
　そう言いながら、私は、スキンヘッドの１人の口に差し込んだモノを引き抜いた。
「……嫌なフェ○チ○も有ったもんだな……」
「残念ながら、このディープ・スロート氏は、何かを告白したくても出来なくなったようだ」
　さっきまでスタンロッドを咥えていた男の口から微かに煙が出ていた。