6. 少女の病
文字数 2,120文字
道はそのうち
ここがベルゴの住まいらしい。
そこから
「それでは、僕たちはこれで。」
リマールが言って、二人は
すると、主人に呼び止められた。
「いやいや、このまま
「お
「いや、あんた達がいなかったら、俺はどうなっていたか分からない。だからそう言わずに。
温かい食事! 二人とも、急に音をたてて胃袋が鳴る思いがした。夜眠るのも、建物の中というだけで全然違う。
結局、二人は簡単にお言葉に甘えることにした。
左の部屋の方から
その灯りで、ベッドの上に体を丸くして横になっている子供の姿が分かった。
「お子さん・・・病気。」
気遣いながら、アベルがほとんどつぶやくように言った。
「ああ実は、もう5日も具合が良くなくて・・・恥ずかしい話だが、医者に
同じく立ち止まり、振り返った主人が暗い声でそう答えた。
「僕は医者じゃないけど、ちょっと診させてもらってもいいですか。」
リマールが申し出た。
医者じゃないのに診たがるその意味が分からない様子で、夫婦は顔を見合う。
「あ、ああ。」と、それで主人は少し
「ランタンがあれば持ってきてください。」
リマールは部屋に入り、ベッドの
それをしてきたのが知らないお兄ちゃんと気づいたその子は、一瞬、驚いた顔になったが、そばに父親もいるのを見て何も言わなかった。
「熱が高いな。ずっとですか?」
「いや、下がったかと思ったら、また上がる。その繰り返しだ。」
「なるほど。」とつぶやいたリマールは、「ちょっと、ごめんね。」と言うと、今度は少女の左右の耳の後ろから
「頭痛い?」
それをしながら、リマールは少女に優しく話しかけた。
「ううん。」
少女はだるそうな
「気分は?気持ち悪い?」
「ちょっと。」
「そっか。
「ない。」
「だと思った。じゃあ、お口を大きく開けてくれるかな。」
リマールは、夫人が手元に用意してくれたランタンをかかげて口の奥を
そのリマールは、少女の
「ああやっぱり、そうだ。」
そして、主人に笑顔を向けた。
「大丈夫、これならちょうど
「本当か⁉ でも、あんた医者じゃあないんだろう?」
「薬剤師です。医者ほど病気や
リマールはリュックから茶色い
「今夜は僕が診るので休んでください。ずっと
「いや、そんなことをさせたらお礼にならない。」
「副作用が出ないかなど、経過も知りたいので。」
リマールのきっぱりとした口調に、夫婦もそれ以上は何も言えなくなり、ただ申し訳なさそうな顔をして目を見合う。
そして薬を飲ませたあとは、とりあえずは少女を一人にして、彼らは食堂へ移動した。