4. 護衛の依頼
文字数 2,605文字
「本当にご兄弟で、貴族なんですか。」
原始的な小屋の床に腰を下ろすと、アベルがつい口にしていた。
「そうかどうかは、生まれた家が良かったってだけの話だ。」
そんな淡々とした返事がすぐに返ってきた。
思わず失礼な質問をしてしまったが、気分を害されたということはなさそうで、アベルはホッとした。
それというのも、マットの上に
ただ、このツリーハウスは悪くはなかった。開放的な大きな窓にはガラスは無く、木の扉がついているだけ。その窓から、雪のように白い滝が見えた。
アベルもリマールも、しばらく時を忘れてそんな窓の外に
さて、そろそろ用件を伝えないと。
リマールが、今日はここに来るつもりで、ずっと上着の内側にしまっていた例の手紙を引っ張り出した。
レイサーは手を伸ばして、確かに手紙を受け取った。
封はされていなかったが、それは最後にきちんと封筒に入れられ、内容もだいたい知っているので、二人ともこっそり取り出して読むという魔も刺さなかった。
そう、内容はだいたい知っている。
それを最初、
「了解。」
「え・・・。」
「なに。」
「いいんですか。」と、アベルは確認した。
「なんで。」
「いやあの・・・すぐには引き受けてもらえないかもって・・・言われてたので。」
「だって、あんた王様の弟だろ。」
「まあ・・・そうみたいですけど・・・。」
「なら、そういうことだよ。」
さっぱり分からない。
でもとにかく、話が上手くいって良かった。剣の実力は分からないが、さっきその強さを
「ありがとうございます。助かります。」
「ああ仕事だからいいって。」
何がどういうふうに書かれているんだ・・・?
ここでレイサーが、「それ・・・王家の?」と、アベルの首の
「知ってるんですか。」
「ああ、見たことがある。俺の家は王家とも親しいから、何か式典が開かれる度に、その席でな。奴らともみ合いになっていたのは、それが原因か。」
「はい。」
「当然だ。そんな高価な宝石ぶら下げてたら、命がいくつあっても足りないぞ。お前たちじゃあ。」
「あの・・・鎖しか見られてないんですけど・・・その前にあなたが助けてくれたので。」
「なんでまた・・・兄貴も危ないことをさせる。それに、もしそれを取られたり、無くしたらどうなるんだ?」
レイサーはアベルから視線を外してそれを言ったので、はっきり聞こえたが
「関所でこれを見せるように言われました。そうしないと、何かいろいろと問題があったり、
「なるほど。」と、レイサーは
「あの・・・首にかけないでいた方がいいでしょうか。」
「いや、落とす方が怖い。盗まれるなら捕まえられる自信があるが、無くしたら見つけられる自信はない。」
それからアベルとリマールは、これまでのことと警戒すべき者達の情報をレイサーに知らせた。
聞き終えると、レイサーは難しい顔をして少し黙った。
「
「そんな分かりやすい恰好で狙ってくるなんて・・・。」
リマールが言った。
レイサーはアベルに目を向けた。
「あんたを
アベルもリマールもみるみる
重くなった空気の中で、レイサーだけが一人平然としている。
彼は腰を上げると、「まだ日が暮れるまでにだいぶ時間もあるし、出発しようか。準備をするから、少し待っててくれ。」と言って、