(モノローグ・???)誇り高き森のハンター

文字数 1,372文字

 我は誇り高き森のハンター。

 我らの上位存在たる我が主が人間に討たれた。

 その人間はとても強く、不思議な術を使う。

 頭が良いと自負する我々が3体がかりでも敵わない難敵であった。


 何ということか、主の忘れ形見である若君がその人間に捕まってしまったのだ。

 我らはその人間に手を出すことができなくなったのだ。

 やむを得ず、我らは若君の様子を遠くから観察することにした。


 若君は特段人間に酷いことをされているということはなかった。

 むしろ、こう言っては何だが人間と上手くやっているように見えた。

 難敵であるサーペントが若君と人間を襲ったときなど肝が冷えたが、若君は人間を守るべく強敵に対し果敢に立ち向かっていった。

 人間は若君をかばって戦っておられた。

 既に我らの中では、あの方は若君の恩人であるという認識となっていた。


 森の方へ若君と人間が出かけることがあった。

 我らは、周りに隠れ潜み若君に害をなす不貞の輩を排除した。

 何という失態か若君を見守るために人間に近づきすぎて、人間の不思議な術にかかってしまった。ぐぬぬぬ…体が動かぬ!

 人間が我に気がつき、こちらにやってきた。

 これで殺されでもしたら無念どころの話ではない。

 何ということだ。若君が我をかばって、人間との間を取り成してくれた。

 我は感動のあまり心が打ち震えた。

 しかも何ということか、人間は足に噛み付いた不思議な術を取り除き、怪我をした足を治療してくれたのだ。

 衝撃だった。

 人間といえば、殺すか殺されるかの関係でしかなかったのだ。

 この人間は特別だと改めて認識した瞬間だった。


 我は誇り高き森のハンター、ブルーウルフ。

 そして、我らは忠誠心が厚い。

 若君とその若君を守護していただいている人間に忠誠を誓う者也。

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