k-83

文字数 1,663文字

 翌日からの早朝鍛錬に、風魔法が追加されることとなった。

 ウインド! ヒュオー

 アッシュが気持ちよさそうにそよ風を受け、後ろ足で耳をかいている。

 柔らかな日差しの中、小鳥のさえずりが響き渡っている。のどかだな……。

 この魔法。何に使えるのか、ものすごく不安になってきたぞ。


 10:00
 先日、ポーションを作りすぎで畑の薬草類が減ってきていたので、今日はショイコを背負って採集でもするか。

 アッシュと一緒に森方面に向かって歩きつつ、草を片っ端から鑑定していく。

 イレーヌ薬草、ムレーヌ解毒草、ベルジン魔法草を中心に根から掘り出していく。

 稀にマーブル草があるのでそれも採集する。よし背負子も一杯だ。これくらいで良いだろう。モンスターが出るかと思ったが、襲われなかった。


 14:00
 俺は家の脇にショイコを下ろすと、少し遅い昼食をとる。干し肉と卵を焼いたものとパン、そしてマーブル草のお茶だ。

 ふう。やっぱりお茶は良いのお。落ち着く。

 15:30
 ひと休憩した俺は、採集してきた植物を畑に植えていく。

 小一時間、土いじりをしていると、キャン! と鋭い鳴き声が聞こえてきた。

 見ると家まわりのアンクルスネアに二メートルほどのブルーウルフがかかっていた。

 俺はそっと弓を構えつつ、近づいた。するとアッシュがブルーウルフをかばうように、俺の前にお座りし「クーン」と鳴いた。そっか、そういえばお前の仲間だったよな。

 俺はブルーウルフに近づいてみたが、意外にもブルーウルフに敵意はないようだ。麻痺もしている。この様子なら大丈夫かと、アンクルスネアをはずしてやった。

 アンクルスネアにはさまれた足が痛そうだ。俺は家に薬草をすり潰した塗り薬と包帯を取りに行った。

 傷薬をぬり、包帯を巻いてやる。しばらくすると、こちらをジッと見つめていたブルーウルフは、森の方へ立ち去っていった。

 ――そういえば、前にもゴブリンとこんなことがあったよな。襲ってこないなら、わざわざこちらも戦いはしないさ。

「ほら、アッシュいくぞ。畑の続きだ」

 俺はやりかけの畑作業に戻ることにした。


 20:00
 飯を食ったあと、歯をみがいてからベットに入ろうとして思い出した。そういえば、サラサにブレスレットのお返しをしていなかった。

 ジュノと相談しつつ一緒にプレゼントでも選ぶか。お返しが被っても嫌だしな。

 マルゴについては、まあ、俺が心配することでもないだろう。明日はジュノの泊まる宿にでも行ってみるか。

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