(モノローグ・ダン)とある男性ギルド職員の苦悩
文字数 1,627文字
俺は冒険者組合ギルド⚔で職員をしている、ダンという者だ。
最近とみに忙しくなってきている。おそらくダンジョンのオーバーフローが起こっているのではないかともっぱらの噂だ。
そんな折、不思議な男が俺の目の前に現れた。
商業ギルド長の愛娘で商人のサラサさんに、引っ張られるようにしてやって来たその男は「ケイゴオクダ」と名乗った。
全く不思議な奴だった。
話が通じないのに字が書けるのだ。わけがわからない。
冒険者ギルド⚔というの本来の存在意義は、強い冒険者が弱い者を助けるというものだ。
しかし飯が食えないのであれば、誰も命をかけて冒険者になどになる馬鹿はいない。
そこで重要になってくるのが町を治める貴族からの援助なのだが、この町の貴族は本当にケチでギルドの予算はカツカツだ。
モンスターの討伐報酬があれば、強い冒険者が積極的に動いてくれる。この町の貴族はそんな簡単なことも理解できない馬鹿なのだ。
本当に頭が痛い。
ところが最近、ケイゴオクダが冒険者の身ながら討伐報酬を出してくれている。確かに今の奴では討伐が難しそうなモンスターに報酬を出しているので、外で暮らす奴にメリットもあり理に適っている。
奴はマルゴ、ジュノ、サラサと仲が良いようで、時折一緒にいるのを見かける。
大方、冒険者稼業以外で色々稼いでいるのだろう。
だが、どのように稼ごうが関係ない。
ケイゴオクダはギルドに金を払ってくれている以上、大事なお客様だ。
大切にしなければ。
最近川にサーペントが出るそうだ。あれも討伐難易度の高いモンスターで、高レベル冒険者がパーティーを組んでようやく倒せる敵だ。
町を襲われでもしたら大変だし、町外れに住むケイゴオクダのことも心配だ。俺のツテを使って、是が非でも討伐しなければならないと思っている。
だが、そもそもの根本的な問題としてダンジョンオーバーフローをなんとかしないといけない。
あのアホ貴族様がまた余計なことをしなければ良いが。
この間はダンジョンを攻略すると突然言い出し、無理やり実力を無視して冒険者を集めて散々な結果に終わったと聞いている。
ダンジョンの問題については、うちのギルドマスターとも相談して対策を練らないといけないと考えているが、いかんせん冒険者に支払われるべき金が圧倒的に足りない。
本当にどうしたものか。頭が痛い。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
みなさんこんにちは。
このモノローグは物語に登場する言葉の通じないキャラクターたちを一人称で語らせたもので、WEB版オリジナルとしてリライトしたものになります。
今回のお話は、ケイゴが異世界に飛ばされた際に最初に冒険者ギルドで受付をしてくれたダンという男性ギルド受付員のモノローグとなっております。
マンガでもちょっとだけ出てきたキャラクターなのでビジュアルもあります。気になる方は確認してみてください。
作品を書くモチベーションになりますので、本作を読んで応援したいと思った方は、ブックマーク、評価、応援コメントをよろしくお願いいたします。
また、紙の書籍版を購入していただくのが一番の応援になりますので、そちらも何卒よろしくお願いいたします。
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全く不思議な奴だった。
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モンスターの討伐報酬があれば、強い冒険者が積極的に動いてくれる。この町の貴族はそんな簡単なことも理解できない馬鹿なのだ。
本当に頭が痛い。
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大方、冒険者稼業以外で色々稼いでいるのだろう。
だが、どのように稼ごうが関係ない。
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