k-2

文字数 1,560文字

 小屋に引きこもること数時間。涙と鼻水で顔がグシャグシャになっていたが、そろそろ昼食時となりお腹がグーっと鳴り出す。


 いつまでもこうしているわけにもいかないと、頭では解っているが、恐ろしすぎて行動に移せない。

 腹が減るという本能的な欲求により、ようやく行動しようという気力が湧いてきた。

 とりあえず、現状分析だ。俺は異世界に来た。それもかなり危険な。

 日本で無一文でサバイバルをやるよりも、難易度が滅茶苦茶高いといえるだろう。

 今にもさっきのゴブリンが、この小屋の扉を突き破って侵入してくるかもしれない。

 腹が減っては戦はできない。

 先ほど採取した、新鮮な生卵と、小屋の中にストックしてあった○ッコーマンの醤油、それを交互に口に入れて食す。

 うん美味い。とりあえず、農家やってて助かった。

 卵とか毎日生まれるし、この小屋を守れば、当面餓死することはないかもしれない。

 それに、異世界とはいえ、目視できる範囲に町らしきものがある。あの程度なら徒歩でも往復3時間くらいでいけるだろう。

 となると、何か物の売買をするということも可能かもしれない。

 そして、ふと、異世界ものの小説では鑑定スキルがあったり、魔法が使えたり、何かの異能力あったりするのが定番だったよなということに思い至る。

 現実に異世界に来て、その空想上の法則が当てはまるとは限らないが。

 ためしに、鑑定! と鶏を見て念じてみた。

 【鶏:一般的な鶏】と表示された。その下によくわかない文字列が並んでいる。

 おお! となる。この時点で俺のテンションは上がる。

 では、自分自身はどうだろう。俺は自分自身に向けて、鑑定! と念じてみた。

 【奥田圭吾】と表示された。よくわからない文字列が併記されているのは一緒だ。

 ちょっとガッカリだ。ステータスとか表示されるのかと思ったからだ。

 粗方小屋の中にあるものを確認した俺は、サバイバルを決心する。

 鑑定スキルがあることで調子に乗ったのかもしれない。でも、少し希望が持てるじゃないか。鑑定スキルがあるということは、魔法だって使えるかもしれない。

 ちょっとした希望というか、そういうのがないと、人間生きていけないと思うんだ。

 小屋の中に木でできた容器があったのでそれに雨水をためられないかと考えた。雨水なら飲めるだろうし、飲み水はサバイバルをする上で最も大切なものだ。


 そこで、草刈り鎌を構えつつ、小屋のドアをそっと開けててみる。

 今は日本標準時間では13時だ。

 俺の腕時計で確認したので間違いない。腕時計は所謂、象が踏んでも壊れないと言われている商品で、太陽光発電が可能なものである。

 これはサバイバルではかなり貴重な一品になると思っている。暗くなる時間、夜明けの時間などを計測していこうと思う。

 外は、明るかった。太陽は一番上当たりにある。
 
 俺は素早く木の容器を外に置いて、小屋の周りを観察する。とりあえず、見える範囲に生物は居ないが、色々と植物が生えている。


 農業をかじっていたからというわけではないが、恐らく日本にはなかった植物だろうと思われる。俺は、何種類か植物を採取し、小屋に戻ったのだった。

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 みなさんこんにちは! お読み頂きありがとうございます。

 本作はリアルな異世界サバイバルものを書きたくて書き始めた作品になってます。(商社マンという設定は実は後に意味がある感じになります)

 しばらくお付き合いいただければ嬉しいです!

 ということで、GーSHOCKが出てきたので、今後主人公が時計を確認した場面で時間の表記がされていくことになります。

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