k-88

文字数 1,766文字

 翌朝、家畜の世話をしてから鍛錬を行っていると、マルゴ、ジュノ、サラサの3人がやってきた。俺は手を上げ、「ランカスタ語」でオハヨウと言う。


 ――ん?


 何かどことなくサラサが不機嫌そうに見える。ほっぺたが微妙にプクーっとなっているし、貝殻のイヤリングもつけていない。

 何かあったのかな?


 10:00
 一通り鍛錬を終わらせて、家の方に戻ると、三人が朝食を作ってテーブルに並べてくれていた。

 丸々一頭解体したばかりのイノシシ肉をもってきてくれたようで、ステーキが並んでいた。パクつくと、ジューシーな肉汁の旨みが、口全体に広がった。良い。

 朝食を食べた後は、マーブル草のハーブティでリラックスタイムだ。


 11:30
 俺はマルゴに、ダガーを仕上げた旨をジェスチャーで伝える。

 終わったものは鍛冶小屋の入り口の方にまとめておいたので、そこを指差す。さっそくマルゴはダガーの出来を真剣な表情で確認した。

 何度も木に突き立てて燃やしたり、刀身を太陽の光にかざしたりしていた。

 俺は、属性付与をするだけの場合はダガー1本につき金貨25枚をもらうことにしている。

 出来が悪ければその限りではないが、そのような適当仕事をしているつもりはない。

 マルゴは俺に代金を支払い、荷台にダガーを運び込んでいった。

 アッシュはサラサに飛びついていて、サラサにギュッと抱きしめられていた。アッシュと戯れて機嫌を直してくれれば良いが。


 15:00
 俺はせっかく三人が来てくれたので、風呂を入れることにした。

 いつものように、水を汲んで、薪で水を温める。

 レディーファーストで、サラサに先に風呂に入ってもらう。サラサはアッシュと一緒に入りたいと言い出して譲らなかった。

 アッシュも尻尾をブンブン振っている。


 ――少しジェラシーだ。


 18:30
 ザブンとやって、体の凝りという凝りをほぐした俺たちは、シシ鍋を肴に宴会を始めた。

 酔いが回ったのかサラサの頭にツノが生えてきた。首には俺のプレゼントした青い宝石のネックレス。

 それをずずいと掴みマルゴに見せ、何か強い口調でマルゴに言っている。どんどん体格の大きいはずのマルゴが、縮んでいくように見えた。

 なるほど。

 どうやらマルゴは、サラサが心配して俺たちに送ってくれたブレスレットのお礼を未だにしていなかったようだ。

 ジュノはまあまあとサラサをなだめ、アッシュは俺の隣に来て、興味がなさそうに寝そべっていた。

 夫婦喧嘩は犬も食わないという話は本当だな。


 金の使い道を相談しようと思ったがそれどころではないな。

 端から見ていて可笑しくなってしまい、俺はクスっと笑ってしまった。


 そうして、賑やかで楽しい夜は更けていった。

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