洋服選び

文字数 2,262文字

 ハンディファンを買った俺らはさっき目星をつけた洋服店へ向かうことにした。
 移動しながら俺は安西に話しかける。
「とりあえず必要な服は部屋着1着と私服の上下2セット、下着を3セットくらいかな。自分で選べるか?」
「選ぶことはできそうですが、予算はどれくらいで考えていますか?」
「いや特に気にしなくていいよ。そんな高い服を売っている店じゃないし」
「そうですか……あのできれば服選ぶの手伝ってもらえませんか?私あまり値段の感覚や商品の良し悪しが分からないので自信が無いです」
 安西は申し訳なさそうにお願いをしてくる。
「そうだな。なるべく俺も手伝うようにするよ。だけど下着は自力で選んでくれるか?俺もそこは力になれないと思うから……」
「あ……そうですよね。そこはなんとか頑張ります」
 安西は察してくれたみたいで下着は自分で選んでくれるようだった。話している内に店に着いた俺らは、中に入り目的の服を探しに行くことにした。
 店の中を歩いていると、まずは私服のコーナーを見つけたので何着か選ぶことにした。
 安西と一緒に私服を眺めるが、安西は特に服を手に取ることなく私服コーナーを一周してしまった。
「何か気になる服とかあったか?」
 俺はそう確認をとった。
「そういえば私、今まで服を選んだことなんてありませんでした。小学生の時も親に買ってもらった服を着ていたので……」
「そっか……」
 俺は何となく察していた答えが返ってきて少し考える。
(まずいな……俺も女の子の服なんてまったく分からないぞ……しかも女子高生のなんて)
 困って色々考えている内に、ネットで調べてみることにした。俺はスマホで『高校生 服 レディース』と調べて候補を検索する。
(おっ、いい感じにまとまっているページ発見。とりあえず安西にも見せてみるか)
 俺はスマホの画面を安西に見せながら話しかける。
「これ見て。女子高生が着ているコーディネートの組み合わせが色々載っているから参考になると思う」
 スマホの画面を見た安西は真剣にそのページを眺め始めた。しばらくして
「イメージはつきましたが、意外に露出が多かったり大人っぽい服が多くて自分に似合うか心配です」
 基本制服の安西には少し刺激が強いものだったようだ。
「まぁ無理して同じ服装にしなくても似たような感じの服を選んでいけばいいと思うよ。俺も手伝うからさ」
「……たしかにそうですね。藤村さんが手伝ってくれるならば心強いです」
 安西は安心した表情でそう答えた。それから俺はネットの情報を参考にしながら安西と一緒に服を選び始めた。
 ネットの情報を見てからは、俺らは思ったより早く私服を選び終わった。パジャマについては着やすさ重視で選んだらすぐに選び終えた。
 そして次は……
「じゃあ次は下着だな。さっき言った通り俺は力になれないから少し離れたところにいるよ。終わったら俺のところに来てくれ」
「わ、わかりました」
 安西は不安そうな表情で下着コーナーへ向かった。
 俺はふらふらとメンズの服を眺めていると
「藤村さん」
 後ろから安西に声がする
「おっ、早かったな。選び終えたか」
 俺は安西の方へ振り返る。しかしながら、商品カゴを見ると特に下着類は入っていないようだった。
「ごめんなさい!色々見てみたんですが、サイズがよく分からなくて選べませんでした。どうしたらいいでしょうか」
 安西は申し訳なさそうにそう言った。確かに今までのことを考えると不思議ではない。
「そっか……だったら試着室のところにいる店員に聞いてみるか。サイズを測ってみたいですって言ったら多分協力してくれると思うよ」
「あっ、そんなことできるんですね!てっきり自分で測ってくる必要があると思っていました。また家に帰らなきゃいけないって思ってすごく申し訳ないと思っていました」
 安西はホッとした表情になった。そして俺らは試着室に向かい、入口のところにいた店員に話しかけた。
「あのすいません。この子の下着のサイズを確認したいのですが、何着か試着することは可能ですか?」
 俺がそう聞くと店員は快く答える。
「大丈夫ですよ!試着用のものがありますので準備してきますね!」
「ありがとうございます!」
 店員は駆け足で試着用の下着を取りに行ったようだ。少し待つと店員がまた駆け足で戻ってきた。
「お待たせしました。じゃあこのカゴに入ったものをいくつか試してみてください。試着はこの番号の部屋を使うようお願いします」
 店員はカゴと番号札を安西に渡した。
「じゃあ俺は外で待ってるから」
「わかりました。ありがとうございます!」
 安西はカゴをもって試着室に向かった。俺はまた少し離れたところで待っていることにした。
(こういう時に安西との連絡手段が無いと万が一の時困るよな。携帯も以前持っていないって言っていたし。せっかくだから安西のスマホを買っておこうかな)
 俺は連絡用のスマホや契約会社などについて調べて待っていると、安西が俺のところに戻ってきた。
「お待たせしました!おかげ様でサイズは大丈夫そうです」
「お、よかったよかった。じゃあ同じサイズのものを3着選ぼうか」
「はい!」
 安西は元気よくそう答えた。その後安西はすぐさま下着を選び終えたので俺らはレジにそれらをまとめて会計した。
 服を一通り買い終わると、時刻はちょうど正午を指していた。
「そろそろお腹空いたしご飯食べに行こうか。安西さんはお腹空いてる?」
「空いてます!」
「じゃあこの上の階にレストランエリアがあるから行こうか」
 俺らは上の階に向かい移動し始めた。
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