初めてのアルバイト
文字数 2,278文字
「あ〜緊張するなぁ。うまくやれるかな……」
私はアルバイトに行く支度を整え、1人そう呟いた。今日は初出勤の日、昨日の面接で無事採用をもらうことができ、早速今日出勤することになった。
準備を終えた私はリビングにいる健さんへ挨拶しに行った。
「じゃあアルバイト行ってきます!」
「いってらっしゃい。何かあったらいつでも連絡してね」
健さんは笑顔で私を見送った。私はお辞儀をして玄関から外へ出た。
外へ出ると猛烈な日差しが襲ってくる。昼過ぎのこの時間は暑さがピークのようで歩いて5分も経たないうちに額を汗が伝う。
(今日も暑いなぁ。……あっそういえば!)
私はカバンからハンディファンを取り出す。電源を入れてファンの風を自分の顔に当ててみる。生暖かい風で少し気持ち悪いが、それでも汗を少し吹き飛ばしてくれる。
(健さんには感謝してもしきれないなぁ……あの家から離れてここ数日、本当に楽しい日が続くなぁ)
私はここ最近のことを思い出す。健さんが助けに来てくれたこと。買い物にデパートまで行ったこと。オムライスを一緒に食べたこと。様々なことを思い出しては幸せを噛み締める。
(いつかちゃんと恩返しできたらいいな。そのためにもアルバイトでお金稼がなきゃ)
私がアルバイトをしたいと思った理由は様々あるが、その1つに健さんへのプレゼントを考えていた。正直プレゼントをしたところで今まで健さんにしてもらったことは返しきれないと思っているが、少しでも喜んでくれればいいなと思っていた。そんなことを思いつつ私はアルバイト先へ早足で向かった。
*
ファミレスに到着して、あらかじめ指定されていたスタッフ専用口から事務室へ入る。事務室には面接をしてくれた店長(男)がデスクに座っており作業をしていた。私が来たことに気づくと、
「こんにちは安西さん。今日からよろしくお願いします」
店長は愛想よく挨拶してきた。続けて、
「あとロッカーに制服が入っているからそれに着替えてください。着替え終わったら私にまた声をかけてくれますか?」
「分かりました!」
私はなるべく元気よく返事をした。店長はニッコリとした顔でよろしくと言った後、また作業に戻った。私はロッカーへ行き、テキパキと着替えを済ませて店長に声をかけた。
「店長。準備できました」
私の声に気づいた店長は作業の手を止めて私の方を見る。
「じゃあ今日は早速キッチンに入ってもらって仕事を覚えてもらいます。安西さんには洗い場をやってもらいつつ調理補助をしてもらいます。慣れてきたら他の仕事も少しづつやってもらおうと思います。実際に仕事を教えるのはキッチンのアルバイトの子にお願いしているから挨拶に行こうか」
店長は立ち上がりキッチンの方へ私を案内してくれた。キッチンに入り店長は若い女性のスタッフに話しかけた。
「伊藤さん!さっき話してたアルバイトの子が来たよ。言ってた通り色々教えてあげてください。じゃあよろしくね!」
そう言って店長は事務室の方へ戻って行った。
伊藤さんと呼ばれた女性と目が合うと、その人から声をかけてくれた。
「安西さん。初めまして伊藤と申します。これから私が安西さんを教えていくことになりますのでどうぞよろしくお願いします」
伊藤さんは丁寧にお辞儀をして挨拶をしてきた。
「よろしくお願いします!私は安西舞佳、高校1年生です。分からないことばかりでご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願いします」
私はある程度考えてきたセリフを話して頭を下げた。
そんな様子を見た伊藤さんは微笑みながら
「高校1年生ですか。すごく初々しいですね。私も高校生の時からここでアルバイトをしていたので当時のことを思い出してとても懐かしい気持ちになります。私は今大学1年生です。お互い学生ということなので、分からないことあったら気軽に質問してくださいね」
伊藤は終始物腰柔らかい口調でそう言った。
(優しい感じの人でよかったぁ。……がっかりさせないように頑張らなきゃ)
私は安心しつつも、少しでも早く戦力となるべく頑張る決意をした。
*
「今日はありがとうございました。またよろしくお願いします」
仕事が終わりの時間となり、私は伊藤さんへ今日のお礼をした。
「お疲れ様でした。こちらこそまたよろしくお願いします。覚えが早くてとても教えやすかったですよ」
伊藤はお辞儀をしてそう言った。今日一日、この丁寧な態度を崩さず接してくれる伊藤さんに感心した。
私はロッカーに向かい着替えを済ませてから店長に挨拶をする。
「お疲れ様でした。今日はありがとうございました」
デスクで作業していた店長が顔を上げる。
「あっ、安西さんお疲れ様。今日はどうしてたか?何か困ったことや分からないことがあったら私にも聞いてください」
店長は気さくにそう言った。
「伊藤さんが丁寧に教えてくれたので今のところ大丈夫そうです」
「伊藤さんすごく丁寧だよね。やっぱりあの子に任せてよかった。……そうだ。今後のシフトについてなんですが、安西さんは学校が夏休みの間はどれくらい勤務できそう?」
店長はシフト表を見つつそう聞いてきた。
「特に予定は入っていませんので結構勤務できると思います」
「お〜助かるねぇ。だったらこの時間帯と19時〜21時の間をお願いしようかな。夜の時間になっても大丈夫そう?」
「大丈夫だとは思いますが、一応家族に相談してみます」
「分かりました。じゃあとりあえず明日も同じ時間にきてください。今日はお疲れ様でした」
「はい!お疲れ様でした」
私はそう挨拶をして事務室を後にした。
私はアルバイトに行く支度を整え、1人そう呟いた。今日は初出勤の日、昨日の面接で無事採用をもらうことができ、早速今日出勤することになった。
準備を終えた私はリビングにいる健さんへ挨拶しに行った。
「じゃあアルバイト行ってきます!」
「いってらっしゃい。何かあったらいつでも連絡してね」
健さんは笑顔で私を見送った。私はお辞儀をして玄関から外へ出た。
外へ出ると猛烈な日差しが襲ってくる。昼過ぎのこの時間は暑さがピークのようで歩いて5分も経たないうちに額を汗が伝う。
(今日も暑いなぁ。……あっそういえば!)
私はカバンからハンディファンを取り出す。電源を入れてファンの風を自分の顔に当ててみる。生暖かい風で少し気持ち悪いが、それでも汗を少し吹き飛ばしてくれる。
(健さんには感謝してもしきれないなぁ……あの家から離れてここ数日、本当に楽しい日が続くなぁ)
私はここ最近のことを思い出す。健さんが助けに来てくれたこと。買い物にデパートまで行ったこと。オムライスを一緒に食べたこと。様々なことを思い出しては幸せを噛み締める。
(いつかちゃんと恩返しできたらいいな。そのためにもアルバイトでお金稼がなきゃ)
私がアルバイトをしたいと思った理由は様々あるが、その1つに健さんへのプレゼントを考えていた。正直プレゼントをしたところで今まで健さんにしてもらったことは返しきれないと思っているが、少しでも喜んでくれればいいなと思っていた。そんなことを思いつつ私はアルバイト先へ早足で向かった。
*
ファミレスに到着して、あらかじめ指定されていたスタッフ専用口から事務室へ入る。事務室には面接をしてくれた店長(男)がデスクに座っており作業をしていた。私が来たことに気づくと、
「こんにちは安西さん。今日からよろしくお願いします」
店長は愛想よく挨拶してきた。続けて、
「あとロッカーに制服が入っているからそれに着替えてください。着替え終わったら私にまた声をかけてくれますか?」
「分かりました!」
私はなるべく元気よく返事をした。店長はニッコリとした顔でよろしくと言った後、また作業に戻った。私はロッカーへ行き、テキパキと着替えを済ませて店長に声をかけた。
「店長。準備できました」
私の声に気づいた店長は作業の手を止めて私の方を見る。
「じゃあ今日は早速キッチンに入ってもらって仕事を覚えてもらいます。安西さんには洗い場をやってもらいつつ調理補助をしてもらいます。慣れてきたら他の仕事も少しづつやってもらおうと思います。実際に仕事を教えるのはキッチンのアルバイトの子にお願いしているから挨拶に行こうか」
店長は立ち上がりキッチンの方へ私を案内してくれた。キッチンに入り店長は若い女性のスタッフに話しかけた。
「伊藤さん!さっき話してたアルバイトの子が来たよ。言ってた通り色々教えてあげてください。じゃあよろしくね!」
そう言って店長は事務室の方へ戻って行った。
伊藤さんと呼ばれた女性と目が合うと、その人から声をかけてくれた。
「安西さん。初めまして伊藤と申します。これから私が安西さんを教えていくことになりますのでどうぞよろしくお願いします」
伊藤さんは丁寧にお辞儀をして挨拶をしてきた。
「よろしくお願いします!私は安西舞佳、高校1年生です。分からないことばかりでご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願いします」
私はある程度考えてきたセリフを話して頭を下げた。
そんな様子を見た伊藤さんは微笑みながら
「高校1年生ですか。すごく初々しいですね。私も高校生の時からここでアルバイトをしていたので当時のことを思い出してとても懐かしい気持ちになります。私は今大学1年生です。お互い学生ということなので、分からないことあったら気軽に質問してくださいね」
伊藤は終始物腰柔らかい口調でそう言った。
(優しい感じの人でよかったぁ。……がっかりさせないように頑張らなきゃ)
私は安心しつつも、少しでも早く戦力となるべく頑張る決意をした。
*
「今日はありがとうございました。またよろしくお願いします」
仕事が終わりの時間となり、私は伊藤さんへ今日のお礼をした。
「お疲れ様でした。こちらこそまたよろしくお願いします。覚えが早くてとても教えやすかったですよ」
伊藤はお辞儀をしてそう言った。今日一日、この丁寧な態度を崩さず接してくれる伊藤さんに感心した。
私はロッカーに向かい着替えを済ませてから店長に挨拶をする。
「お疲れ様でした。今日はありがとうございました」
デスクで作業していた店長が顔を上げる。
「あっ、安西さんお疲れ様。今日はどうしてたか?何か困ったことや分からないことがあったら私にも聞いてください」
店長は気さくにそう言った。
「伊藤さんが丁寧に教えてくれたので今のところ大丈夫そうです」
「伊藤さんすごく丁寧だよね。やっぱりあの子に任せてよかった。……そうだ。今後のシフトについてなんですが、安西さんは学校が夏休みの間はどれくらい勤務できそう?」
店長はシフト表を見つつそう聞いてきた。
「特に予定は入っていませんので結構勤務できると思います」
「お〜助かるねぇ。だったらこの時間帯と19時〜21時の間をお願いしようかな。夜の時間になっても大丈夫そう?」
「大丈夫だとは思いますが、一応家族に相談してみます」
「分かりました。じゃあとりあえず明日も同じ時間にきてください。今日はお疲れ様でした」
「はい!お疲れ様でした」
私はそう挨拶をして事務室を後にした。