少女は公園で

文字数 1,645文字

「ピピピピ、ピピピピ」
 スマホのアラームが朝7時であることを知らせる。目覚ましの音をすぐさま消し、二度寝したい欲望を振り払い無理やり起きる。7時30分には家を出なきゃいけないのでここからの準備はタイムアタックだ。早く起きればゆっくり支度ができるが、ギリギリまで寝ていたい。
 (あーねみぃ……、休みたい……、午後休みとろっかなぁ)
 夜遅くまでアニメを見ていた俺は明らかに睡眠不足だった。
 (今日は早く寝よ)
 7時25分、支度が終わった俺はさっさと家を出た。
 
「おはよーございまーす」
 会社につき、周りの職員に挨拶して自席にすわる。いつも始業の時間まではスマホをいじって過ごす。始業のチャイムがなるとパソコンにログインする。
 (メールなんか来てるかな?)
 メールボックスを開くと何件か自分宛のメールがあることに気づく。
 (結構来てるな……さっさと片付けるか……)
 俺は仕事モードに切り替えて仕事にとりかかった。
 お昼のチャイムが鳴り響き、12時になったことに気づく。午前中で仕事終わらせようとしてかなり集中していた。
 (午後休み申請できそうだけど、なんか眠くなくなったし今日は定時まで働くか)
 コンビニで買ったおにぎりを食べながら今日の過ごし方について考える。今のペースだったら今日も定時で帰れそうだ。
 (……なんとしても定時であがるぞ!)
 17時には自分のやっておきたいところまでの仕事が終わった。定時までの間、パソコン右下の時間をみつつ会社のお知らせとかに目を通して暇を潰した。
 (……あと10分、早く終われ!)
 そして定時のチャイムがなるとさっさと帰る支度をした。
「お疲れ様でしたー」
 周りの職員に軽く挨拶して会社を脱出した。
 (よーし、脱出成功!昨日のアニメの続きみるぞ!!)
 朝の眠気などもう忘れた俺は、昨日の続きのことで頭がいっぱいになった。

 最寄りの駅を出て、のんびり家までの道を歩いて帰る。帰り道の途中にはいつも閑散としている公園がある。誰もいないことが多い公園だが、今日はベンチに1人座っているみたいだ。それは小柄な少女で、なんとなく見覚えがあると思い、よく見てみると隣の家の少女だった。1人寂しくベンチに座っており、遠くを見つめている様子だった。ベンチの近くを通り過ぎる時に、気づかれないように少女の顔をみる。ベンチが公園内にあり、公園の外の道から見たので横顔までしか見られなかったが、無表情で空を見ているようだった。
 (何か嫌なことでもあったのか……学校で何かあったのかな……もしくは、昨日の物音と何か関係があるのか……)
 色々と憶測を重ねたが、特に分かる訳ではなかったのであまり気にせずそのまま俺は公園を後にした。

 家に帰りシャワーやご飯を済ませると、俺は昨日のアニメの続きを見始めた。
 (なにか甘いものでもつまみたいなぁ)
 家につまむものがあるか探すが見つからず。
 (めんどいけどコンビニいくかぁ)
 俺は着替えてコンビニへ向かうことにした。家を出てアパートの廊下を歩いていると向かい側から中年くらいの女性が歩いてくるのに気づいた。
「こんばんは〜」
 と向こうから挨拶をしてきたので、こちらも
「こんばんは」
 と挨拶を返した。すれ違ってから気づかれないように後ろをチラッとみると角部屋の家に入っていくのが見えた。
 (隣の家の奥さんだったか、この時間まで仕事かな)
 あまり気にせずコンビニへ向かうことにした。

 コンビニで適当にいくつかお菓子を買い、すぐさま家に帰ってアニメの続きを見る。お菓子をつまみながら見ていると、物音が隣から響いてきた。
 (……またか、昨日のはたまたまじゃないようだな)
 続けて高めの声と何かが壁に当たったような音が聞こえた。その後も甲高い声と物音が続いた。
 (流石にうるさいな……明日も続くようだったらちょっとアパートの管理会社にでも相談してみるかな)
 俺は少し苛立ちを感じるのと同時に、隣で何か事件が起きているのではないか、そんな心配が頭をよぎった。
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