第11話

文字数 612文字

 弓絵は彗 の後を追い、教室を飛び出す。

「彗君っ、」

 彗が向っただろう右手に携帯電話のライトを向けると同時、


ズン!!


(地震!?

 又も一瞬ばかりの縦揺れだ。
弓絵は足を取られて廊下に転がる。

!! ……ぃッ、たた、」

 床に打った腰を摩りながら顔を上げると、 そこは1階の食堂前。


「また……移動、した?」


 たった今、2階の教室を出たばかりだ。
ソレが次の瞬間には1階の食堂前に飛ばされている。

(どうして!? 何で!? 彗君は!? 皆は!?

 彗は1階と2階を繋ぐ南階段へ向い、義也達は教室に残っている。
だが、自分だけが別の場所に飛ばされたとは思えない。


(1度目も そうだった……あの揺れが瞬間移動の合図!?


 弓絵は立ち上がり、駆け出す。

(ココは おかしい!! 理屈では説明できない事が起こってる!!

「教室に、教室に、」

(戻ろう!一旦 戻ろう!)

「きっと皆 戻って、」

 食堂前から図書室、第1会議室を経由して昇降口前中央階段を上がろうとした所で、弓絵はつんのめる様に足を止める。

!?

ズル、ズル、
ズズズズズ、、ズル……

(また あの音だ!!

 何か重い物を引き摺る音が、中央階段の上から聞こえて来る。
1段ずつ ゆっくりと降りて来ている様だ。

(誰? 変質者? 校内を徘徊しているの!? もしかして、私達を探してる!?

 この儘では鉢合わせてしまう。
弓絵は会議室のドアを開けて体を滑り込ませると、口を付きそうな悲鳴を何度も飲み込む。
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