第1話
文字数 788文字
何処の学校にも、語り継がれる怪奇談や七不思議があるだろう。
夜になると12段だった筈の階段に13段目が現れるだの、理科室の人体模型が動くだの、音楽室の肖像画の目が動く、はたまたトイレの花子サンに出くわす、等々。
然し、ソレ等は あくまで噂だ。
遅くまで学校に残って遊んでいる生徒にはバチが当たると言う、抑止力の様なもの。
そう簡単に怪奇と出くわす事は出来ない。
手順を踏めば、話は別だが。
「あぁ面倒クサ……
ウチらが卒業したら廃校になんのに、何で卒業制作やらなきゃなんないんだっつ~の」
そう言ってドスン! と廊下に座り込むのは、ショートカットがボーイッシュな久松 登美 。窓から見える青空に、溜息を連投する。
中学卒業制作の一貫として、教室前の壁にミニタイルでアートを施そうとジャージ姿で奮闘する最中、設計図を片手に声を躍らせるのは、ストレートヘアが爽やかな藤山 亜希子 。
「そうかな? こぉゆぅコツコツしたの、私は結構 楽しぃよ」
「はぁ? だからさぁ、廃校になったら校舎は取り壊されるんだってぇ。
作った所で意味ないってのぉ」
「うーん……」
登美の言葉に肩を落とす亜希子が不満げに唸れば、おかっぱ頭の足立 理恵 が宥めに入る。
「登美ぃ、やめなってぇ。
そうゆう風に言われると やる気無くしちゃうよねぇ、俊クン」
「まぁしょぉがねぇべ。事実だし。
でも、弓絵サンが折角デザインしてくれたんだから作り終えんとさぁ、頑張ろぉや、登美サンよぉ。コレ終ったらパズリックドラクーンで対戦しようやぁ」
女子の間も上手く仲裁に入る長身で温和な熊田 俊典 は、数日前から理恵と交際を開始。
2人にとっては今が1番楽しい時期だから無駄と分かった作業もヘッチャラなのだ。
デザインから設計図までを担当した及崎 弓絵 は俊典に名前を引き合いに出されるや肩身を狭める。
アート制作に集中していると見せかけて、何も聞こえなかった事にしよう。
夜になると12段だった筈の階段に13段目が現れるだの、理科室の人体模型が動くだの、音楽室の肖像画の目が動く、はたまたトイレの花子サンに出くわす、等々。
然し、ソレ等は あくまで噂だ。
遅くまで学校に残って遊んでいる生徒にはバチが当たると言う、抑止力の様なもの。
そう簡単に怪奇と出くわす事は出来ない。
手順を踏めば、話は別だが。
「あぁ面倒クサ……
ウチらが卒業したら廃校になんのに、何で卒業制作やらなきゃなんないんだっつ~の」
そう言ってドスン! と廊下に座り込むのは、ショートカットがボーイッシュな
中学卒業制作の一貫として、教室前の壁にミニタイルでアートを施そうとジャージ姿で奮闘する最中、設計図を片手に声を躍らせるのは、ストレートヘアが爽やかな
「そうかな? こぉゆぅコツコツしたの、私は結構 楽しぃよ」
「はぁ? だからさぁ、廃校になったら校舎は取り壊されるんだってぇ。
作った所で意味ないってのぉ」
「うーん……」
登美の言葉に肩を落とす亜希子が不満げに唸れば、おかっぱ頭の
「登美ぃ、やめなってぇ。
そうゆう風に言われると やる気無くしちゃうよねぇ、俊クン」
「まぁしょぉがねぇべ。事実だし。
でも、弓絵サンが折角デザインしてくれたんだから作り終えんとさぁ、頑張ろぉや、登美サンよぉ。コレ終ったらパズリックドラクーンで対戦しようやぁ」
女子の間も上手く仲裁に入る長身で温和な
2人にとっては今が1番楽しい時期だから無駄と分かった作業もヘッチャラなのだ。
デザインから設計図までを担当した
アート制作に集中していると見せかけて、何も聞こえなかった事にしよう。