第37話 旦過市場の火事

文字数 781文字

 旦過市場のメーン通りを入った路地にある飲食店がら火がでた。火は瞬く間に、老朽化した木造店舗に猛火を振るって行った。戦後に建てられた小さな店の寄せ集め、配線工事や配管工事や建物の構造は現代の建築基準法にはまらないぐらい入り組んでごちゃごちゃである。市行政としては火災の危険もあり、建て替えて、防火建築の市場にしようと、十数年も前から計画をしたが、実行されなかった。市場は庶民の台所として、未だに人気がある。
大火災となり何十軒もの店が燃えた。
 火事の4日後、小倉京町文学セミナー受講で、作文を厳しく指導され、
「上っ面だけで終わりでなく、その奥深くを考え表現しなければ、エッセイの体をなさない」と先生から喝が入った後、火災現場を見ようと魚町銀天街を通り、旦過市場へ向かった。
 入口は進入禁止の表示がされていて、アーケードの奥の方で裸電球が見え、人の動く気配があった。道路を迂回して行った。途中に店では消防署が侵入する為壊されており、その向こうに焼けた黒焦げ柱の屋根の残骸が折り重なり崩れていた。途中から、被害のない通路を行くと昭和映画館は健在だった。その先奥の細い道を行くと、市場への脇入口に人が入っていった。
 突き当りのレトロな商店は半分は営業再開、入り口部分の裏側の飲食店街が、夜間に火事を出していた。昼間の商店通りは17時頃には店をしまうので、夜は誰もいない。焼け跡の匂いは、ここでは感じなかった。店はいつものように店員さんが頑張って店をやっている雰囲気を感じられた。ホルモン売り屋のおやじさんは元気だった。冷蔵庫に向かって仕事をしていた。娘さんらしい人が店売りをし応対していた。お客は多いようだ。娘さんは「親父さんは元気にやっているよ」といってくれ、てきぱきお客と対応されていた。100年床付けのサバにと肉やさんのコロッケを買った。今晩の夕食に相方と食べよう
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