第10話 ブルーブルー小倉

文字数 594文字

 国道の通りで、デコシティの向いに、古色蒼然の明治時代の木造建物が残っている。それも管理状態がよさそうである。「ブルーブルー小倉」という看板でスコーンが三百五十円とある。中に入ると若者の男女の衣類が並んでいる。
 若い男性店員がやって来た。スコーンとコーヒーを頼み、話を聴いた。東京に本店があり、社長が小倉に来た時、明治初め小倉警察署だった建物を取り壊す予定だと聞いた。社長は山口出身であったが米国へ仕入れにも行き、それと共に日本の古い物が好きだった。七十歳台の人だという。リバーウオーク北九州の向いにあり、取り壊し駐車場と計画されていた。社長は、歴史遺産を、残したい」と、自己資金で買い取った。そして衣料品を販売し始めて、二十年経つ。今ではこの建物は福岡県の有形文化財に指定されている。
 「良い話ですね」と、若い店員と、社長の心意気に、拍手を送った。金持ちのスポンサーが歴史的遺産に金をだし、店として現状を維持し営業することは素晴らしいアイデアである。藍染の服も若者に人気があるらしい。
 小倉宿は城下町を含め賑わいを極めた町だったらしい。常盤橋を渡ると秋月街道である。まずは徳力宿からとなるが、小倉南区にあるはずだ。モノレールが敷設され、旧街道はほとんど撤去されて新しい建物や道路、モノレールが占拠している。時代が変わり様子が全く変わっている。どこに徳力宿があったのか、捜索に、苦労した。
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