第9話 コロンブスか小倉DCタワー

文字数 527文字

 小倉宿を西構口の方へ歩くと突然、江戸から令和の現在との対照比較の見本のような建物が出現するのである。
 巨大な41階建て高級マンションが、コロンブスが上から見下ろす感じで、聳え立っている。片や江戸の名残を感じさせる古びた木造住宅。古い味わいと最先端のビル。市街再開発事業として七軒分の町屋を買収し、小倉DCタワーが建設された。小倉駅も近いし、魚町銀天街も紫川の向こうにある。リバーウオークは道路を挟んだ向かいである。小倉の一等地であり、マンションの部屋のお値段も一億はすると想像した。一階の旧街道添いのスペースをガラス張りにし、江戸時代の写真や物品を展示してある。その頃の生活や町屋の状況がずらりと並び珍しい展示場である。土地を買うとき歴史的な配慮をしてほしいと要望があったのだろう。貴重な江戸時代の物品や写真や絵が訴えかけている。
 西小倉駅前までが宿場の終点だったらしい。宿場の南側にある賑やかな通りを歩いた。リバーウォーク北九州という巨大なショッピングモールが並ぶ小倉のメーンストリートである。国道一九九号線でひっきりなし車が走っている。都会の雰囲気である。筋一つ向こうは旧街道でさびれた二階屋が並ぶ。時代の流れで、江戸の幻影は、徐々に消滅していく。
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