第34話 小倉の台所 旦過

文字数 494文字

北九州市を代表する旦過市場が取り壊され、新しく建て替えと新聞で報道された。 小倉の魚町銀天街に続き、信号先に旦過市場がある。昭和三五年頃建築の小さな商店が二百店舗以上も軒を連ねる。鮮魚・青果・精肉・惣菜などを扱う。裏通りの飲食店が若者の人気を呼んでいる。個性豊かな小店が並び、韓国や中国からも観光客も訪れる。テレビのロケでも使われるレトロな雰囲気である。商う人の様子を眺めるのも楽しい。
 旦過とは修行僧の雲水が宿泊する場所で、東曲輪の屋敷と小笠原家の宗玄寺や開善寺を結ぶ橋が架けられ、小倉城下の南玄関に通じる。 大正時代、隣接する神嶽川から魚の荷揚げ場と成り、その後、田川・中津方面からの野菜の集積地となり、市場となった。
 中央の通路を挟み川側(丸和側)は建物が神嶽川の上にせり出して建っている。裏 通りは古いトタン屋根やむき出しの古配管など、改造を重ねた跡が残る。
 戦後の商店街の面影を懐かしみ、毎日多くの人が出入りし買い物また地元料理屋 も仕入れる。看板も古く、表面のひび割れも味がある。間口1間の店に店員が2人いて、お客に「元気しとる」と対面販売の人情味溢れる遣り取りが飛び交う。
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