各々の想い『くうり』

文字数 923文字

やれやれ、今日は力と神経を使い過ぎたね。

流石の僕もくたびれちゃったよ。

に、してもあの二人は本当に珍しい。互いに互いの事を考えている。

「──そうだね、ライズだって同じ」

人間でも、違った価値観を持っている者が居る。

覇を唱える王クラディウスの言葉を鵜呑みにすること無く自分の意志を持った人がいる。

そう考えると、救われた気持ちになるよ。

僕は、ライズも含め君達と知り合えて良かった。

「でも、ユリ君。君は本当に人間なのかな」

僕は、それがどうしても分からない。君を初めてテントで見た時感じた違和感。

それは、きっとこれから歩む道で真相に近づく筈。

まあ、考え過ぎに越した事はないし僕がこれ以上、とやかく言う権利はない。

見守ると言う形で見ていくさ。

そんな事よりも……。

「ぷぷぷっ……ルグレの実を食べたって話は笑ったなっ」

思い出しただけで、また笑っちゃう。

あんな、鋭い目つきのくせに抜けた部分があるから面白い。

流石に僕もルグレの実を食べようとはしないよ。いくら、自然が大好きでも……ぷぷぷっ。

まぁ、今はそんなユリ君を含め二人を力がある僕が護ってあげなきゃいけない。

弟に何もしてあげれなかった分。僕を必要としてくれてる二人には答えてあげなきゃダメだよね。
「そうでしょ? くうや」

あの二人は信用に足るものがある。故に信用できる。疑り深いエルフが思うんだ、間違いさないさっ。

「さぁ、僕もそろそろ寝るかな? くうやの部屋でっ!」

でも、何で、僕が作ったご飯、あんな辛そうに食べたのかな? あんな美味しいのに。くうやとか大好物だったのに。

辛さが足りなかったのかな?

「そうだ!! 今度は内緒で朝ごはんを作ってあげよう!!」

そうだなー、シンダケとタケノコを使った炊き込みご飯なんていいんじゃないかな。

次は絶対、美味しいといわせちゃうんだから。

そうだ、ライズにも別れを言わないと……。

それは、あの木にメッセージを残せばいいよね。

明日、この街を出たら少し時間を貰おう。

次は、何も気にしないで会える日までって書いておこう。

僕も、またライズとちゃんと話したい。その為にも余計に頑張らなくちゃだよね。

「よおーし!! 寝ようッ!!」

二人は、ちゃんと寝付けたなかなっ。

まあ、大丈夫かぁ。ムニャムニャ

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