本来あるべき姿
文字数 2,069文字
言い返す言葉も無く、三人はべレーゼへと足を運んだ。
まるで、一つの世界のように独特の雰囲気をしているべレーゼ。
幻想的で神秘的、故に現実離れしすぎている空間。
「此処が、べレーゼの中心部分ですッ」
「街の中に滝があるの──か?」
ユリクが、見上げた高い天井。そこから落ち続ける水。そして、空気を含んだ水が小さい滝壺を叩く時、底で光石が反応し淡く光を放っていた。
まるで、黄金で出来た水の様に……。
「これは、外の地表から雨水が浸透して内部にある空洞を通って出来た現象。自然が生み出した奇跡、と言えば聞こえがいいかもしれませんねっ!!」
「何で、こんな場所に俺達を連れてきてくれたんだ?」
「連れてきてくれた? 違いますよッ。君達が僕を探していたんじゃないですか」
ユリクは眉を開き口を開けたまま呆然としていた。
それもその筈、知り合ってから今まで内容を一つも喋ってはいなかったのだから。
「何で、それを……?」
「え? 何でって。だからさっき僕が『希望に応える』と言った時も何も言ってこなかったんじゃないんですかっ??」
「いや……ごめん。そこまで頭働いてなかった」
「ふむふむ。やはりユリ君、君は不思議な方ですねっ」
滝壺に手を入れながら、くうりは言葉を並べる。
動揺を隠せないユリクは何を思っているのか、天井を見上げていた。
「まぁ、立ち話も何ですし。僕の家に行きましょう! 目の前に見える一番太いフォレスト・レイの脇にあるのが僕の家なのでッ!」
「セアー、お前は疲れていないか? その……見えない分……神経とかさ」
「私は大丈夫です。寧ろ、私はユリクさんが心配ですよ?」
「何で俺を……?」
「私を救ってくれて……辛い思いをして。それでも私の面倒を見てくれる。無理をしていないか私は心配です」
小さい両手で、ユリクの片手を強く掴みながらセアーは、か細い声で心に語りかけるかのように、優しくユリクに届けた。
「はーやーく!! 置いていきますよッ!」
「いや、くうり! もう、既に置いていってるじゃねぇか!! ったっく! 待てよッ! ──それと、セアー。ありがとうな?」
「はいっ! こちらこそ、ありがとうございます。ユリクさんッ」
水面から照らす光が、セアーを照らし、輝く白髪が、美しく。そして、魅せる笑顔は、さながら天使のようだった。
ユリクは、その笑顔に魅了されたかのように直視出来ないまま細い目を泳がし頬を赤らめる。
「これが家なの……か?」
くうりに連れられ二人が着いた小さい建物。
その部屋の中は机と椅子が四つしかないという殺風景。
まるで生活感が感じる事が出来わしない。
「これがって、ユリ君は失礼ですねぇ……。とりあえず座ってくださいッ!」
ため息混じりに冷ややかな目線を送りつつも、マルタで出来た椅子に座るように促す。
二人は、それに従うように静かに座った。
「まず、僕に何か聞きたい事はありますかっ?」
「それは、さっきも言ったけれど。何で探している事を知っていたんだ? くうりは」
「それは、自然との対話です」
「自然との対話?」
意味が分からないと声に出さずとも伝わってくる表情をしながら、問を投げ続ける。
それに、間を置くことも無く、さも当たり前かのようにくうりは嫌な顔一つせずに答えてゆく。
「そんな事出来る訳が無いッて、表情をしてますねっ。でわ、何故、大地震が来る前や嵐が来る前に動物達は騒ぐと思いますか?」
「それは……んーと……肌で感じるから?……とか」
「肌で何を感じるんだと思いますか?」
「えっと──空気?」
「空気は、自然じゃないんですか?」
「っあ……」
「動物に意志があるように、自然にも意志があるんです。そして、自然こそが差別なく平等に生き物に接する事が出来る生物。
僕は、自然こそが一番の情報源だと思っています。
僕達、エルフは自然と共に生きる種族だからこそ敏感なのかもしれませんけどねっ!」
セアーとユリクは、ただただ頷き真剣に話を聞き入っていた。
それを分かっているかのように、くうりは丁寧に説明を続ける。
そして、一番ユリクが反応を示したのは、昨日の出来事も微かだが、何かが起こったと言うのが伝わって来たということだった。
「あれは、皆が怯えちゃって良く伝わらなかったんですけどねっ。でも、それだけで、唯ならないと言う事は把握するしかなかったです」
「そうなのか……そう、多分その怯えるって出来事……そこから話しは今に至るまで全て繋がるんだ」
そこから、ユリクはセアーの置かれている事実。
リュークで起きた悲劇をこと細く説明をする。
「ふむふむ。だから、この子達も力を貸してあげるべきだと、僕に言ったのかも知れません。本来あるべき姿が君達にあると──言っていたんです」
「あるべき姿?」
「はい。あるべき姿です。命と言う平等に持って産まれた者のあるべき姿」
まるで、一つの世界のように独特の雰囲気をしているべレーゼ。
幻想的で神秘的、故に現実離れしすぎている空間。
「此処が、べレーゼの中心部分ですッ」
「街の中に滝があるの──か?」
ユリクが、見上げた高い天井。そこから落ち続ける水。そして、空気を含んだ水が小さい滝壺を叩く時、底で光石が反応し淡く光を放っていた。
まるで、黄金で出来た水の様に……。
「これは、外の地表から雨水が浸透して内部にある空洞を通って出来た現象。自然が生み出した奇跡、と言えば聞こえがいいかもしれませんねっ!!」
「何で、こんな場所に俺達を連れてきてくれたんだ?」
「連れてきてくれた? 違いますよッ。君達が僕を探していたんじゃないですか」
ユリクは眉を開き口を開けたまま呆然としていた。
それもその筈、知り合ってから今まで内容を一つも喋ってはいなかったのだから。
「何で、それを……?」
「え? 何でって。だからさっき僕が『希望に応える』と言った時も何も言ってこなかったんじゃないんですかっ??」
「いや……ごめん。そこまで頭働いてなかった」
「ふむふむ。やはりユリ君、君は不思議な方ですねっ」
滝壺に手を入れながら、くうりは言葉を並べる。
動揺を隠せないユリクは何を思っているのか、天井を見上げていた。
「まぁ、立ち話も何ですし。僕の家に行きましょう! 目の前に見える一番太いフォレスト・レイの脇にあるのが僕の家なのでッ!」
「セアー、お前は疲れていないか? その……見えない分……神経とかさ」
「私は大丈夫です。寧ろ、私はユリクさんが心配ですよ?」
「何で俺を……?」
「私を救ってくれて……辛い思いをして。それでも私の面倒を見てくれる。無理をしていないか私は心配です」
小さい両手で、ユリクの片手を強く掴みながらセアーは、か細い声で心に語りかけるかのように、優しくユリクに届けた。
「はーやーく!! 置いていきますよッ!」
「いや、くうり! もう、既に置いていってるじゃねぇか!! ったっく! 待てよッ! ──それと、セアー。ありがとうな?」
「はいっ! こちらこそ、ありがとうございます。ユリクさんッ」
水面から照らす光が、セアーを照らし、輝く白髪が、美しく。そして、魅せる笑顔は、さながら天使のようだった。
ユリクは、その笑顔に魅了されたかのように直視出来ないまま細い目を泳がし頬を赤らめる。
「これが家なの……か?」
くうりに連れられ二人が着いた小さい建物。
その部屋の中は机と椅子が四つしかないという殺風景。
まるで生活感が感じる事が出来わしない。
「これがって、ユリ君は失礼ですねぇ……。とりあえず座ってくださいッ!」
ため息混じりに冷ややかな目線を送りつつも、マルタで出来た椅子に座るように促す。
二人は、それに従うように静かに座った。
「まず、僕に何か聞きたい事はありますかっ?」
「それは、さっきも言ったけれど。何で探している事を知っていたんだ? くうりは」
「それは、自然との対話です」
「自然との対話?」
意味が分からないと声に出さずとも伝わってくる表情をしながら、問を投げ続ける。
それに、間を置くことも無く、さも当たり前かのようにくうりは嫌な顔一つせずに答えてゆく。
「そんな事出来る訳が無いッて、表情をしてますねっ。でわ、何故、大地震が来る前や嵐が来る前に動物達は騒ぐと思いますか?」
「それは……んーと……肌で感じるから?……とか」
「肌で何を感じるんだと思いますか?」
「えっと──空気?」
「空気は、自然じゃないんですか?」
「っあ……」
「動物に意志があるように、自然にも意志があるんです。そして、自然こそが差別なく平等に生き物に接する事が出来る生物。
僕は、自然こそが一番の情報源だと思っています。
僕達、エルフは自然と共に生きる種族だからこそ敏感なのかもしれませんけどねっ!」
セアーとユリクは、ただただ頷き真剣に話を聞き入っていた。
それを分かっているかのように、くうりは丁寧に説明を続ける。
そして、一番ユリクが反応を示したのは、昨日の出来事も微かだが、何かが起こったと言うのが伝わって来たということだった。
「あれは、皆が怯えちゃって良く伝わらなかったんですけどねっ。でも、それだけで、唯ならないと言う事は把握するしかなかったです」
「そうなのか……そう、多分その怯えるって出来事……そこから話しは今に至るまで全て繋がるんだ」
そこから、ユリクはセアーの置かれている事実。
リュークで起きた悲劇をこと細く説明をする。
「ふむふむ。だから、この子達も力を貸してあげるべきだと、僕に言ったのかも知れません。本来あるべき姿が君達にあると──言っていたんです」
「あるべき姿?」
「はい。あるべき姿です。命と言う平等に持って産まれた者のあるべき姿」