絶望の声。希望の穂先
文字数 1,581文字
「結局俺は、何も変わらないで。何も変えることが出来ないんだ。あの渡り鳥のように、目的に向かってぶれること無く羽ばたく事も。
この危機的状況からこの子を救い出すことも。いまの俺には何も出来ることがない。
何か、変わる気がした。──変えられる気がしてた。それが、変わるどころか。自分の無能さを惜しみなく気が付かされたという結果論に俺は意義すら立てることも……。」
『人生はそんな甘くない』と言う言葉がある。──が、その言葉を言うの正直辛い。
弱音を吐く。そんな事をした所で受け答えしてくれる人は、この空間に居ない……誰一人として。となれば、どうなるか。
──壁に当たったボールの様に。将又、投げたブーメランの様に自分に返ってくる。そして、否応なしに自ら受け止めるソレは結局心の中へとしまい込む。
──と言う事になる。
この時の『受け止める』と言うのは、どう言うものかと言えば。
自分の事を責める贖罪にしかならない。
それを再び、受け止める反動は生半可なものじゃないはず。
そして、人はその反動に耐えられなくなった時。初めて悟る──自分の非力さを。
「"死"とはどう言うものなのだろうか。意識は、亡くなり精神は何も無い虚無へと誘われるのか。それとも、死後の世界だとか輪廻転生だとか。
──そんな素晴らしい、ご都合主義な世界なんか本当にあるのだろうか。不安でしかない……。ぁあ──そうか、情けなく何も救う事が出来ない不甲斐ない俺は。目の前の出来事じゃ飽き足らず、死ぬこと死んだ後の事にすら怯え恐れているのか──」
ユリクは、何かを悟ったのか。後ろに生えた太い木へと寄りかかる。
──少し穏やかになった表情からは。正直……『生きたい』と言う強い願望よりも ──。
そう、死への恐怖だけを考えてるようだった。端的に言えば、これは……生きる事を諦めた顔つきのような気がする。
ふ──と。ユリクは高い木の天辺を見つめるように空を見上げる。
陽もさほど通さない薄暗い森の天井。それは、今のユリク達を表しているかのように青々しい大空を遮る。
折り重なった絶望のように……。
「目と鼻の先にいるであろう──。こいつが、どんな力を持っているのか分からない。鋭い牙を用いているのか。鋭い爪を用いているのか。視認すらままならないのにも関わらず。何故か殺気だけは感じる。感じたくもなかったそれだけは手に取るように分かる」
もはや、ユリクは動く事を諦めてすら居るようだった。絶望しながらも、口だけは動かす
。ただ、それに対して何かをしようという気は無いのかもしれない。
──右手に仕舞い込んだ歪な形をした石は別にして──。
「──ならせめて、俺にだって強い意志・勇気があるって事を知らしめてやる。誰にって、追求してしまえば答えは見つからない。これじゃあ、ただの自暴自棄だよな……。
それでもいい。せめてこの子の為に一矢報いた──と言う結果が生まれたのなら。少しは変われたと言う事実になるに違いない……。それが自己満足でもっ!!」
ユリクは、とうとう。秘密兵器である石を強い意志の欠片すら見る事の出来ない。何方かと言えば、目にも留まる遅いスピードで緩やかな放物線を描きながら投げた。
「なんだよそれは……反則だろ物理干渉無効とか 結局本当の意味で太刀打ちも出来なかったと言うことかよ。いくらなんでも、期待も希望も可能性すら持つ事を許されない相手とか無慈悲にも程があるだろ……」
吹っ切れたかのように深く深く溜息をついた。
少しの希望も、見出すことすら出来なかったのだ。仕方がないと言えば仕方がない……。
「……お前達は一体何者なんだだ? 」
「そいつらは、魔境種。──何者でもない。いや、何者にもなれなかった物なのかもしれない──大丈夫か? ユリク」
この危機的状況からこの子を救い出すことも。いまの俺には何も出来ることがない。
何か、変わる気がした。──変えられる気がしてた。それが、変わるどころか。自分の無能さを惜しみなく気が付かされたという結果論に俺は意義すら立てることも……。」
『人生はそんな甘くない』と言う言葉がある。──が、その言葉を言うの正直辛い。
弱音を吐く。そんな事をした所で受け答えしてくれる人は、この空間に居ない……誰一人として。となれば、どうなるか。
──壁に当たったボールの様に。将又、投げたブーメランの様に自分に返ってくる。そして、否応なしに自ら受け止めるソレは結局心の中へとしまい込む。
──と言う事になる。
この時の『受け止める』と言うのは、どう言うものかと言えば。
自分の事を責める贖罪にしかならない。
それを再び、受け止める反動は生半可なものじゃないはず。
そして、人はその反動に耐えられなくなった時。初めて悟る──自分の非力さを。
「"死"とはどう言うものなのだろうか。意識は、亡くなり精神は何も無い虚無へと誘われるのか。それとも、死後の世界だとか輪廻転生だとか。
──そんな素晴らしい、ご都合主義な世界なんか本当にあるのだろうか。不安でしかない……。ぁあ──そうか、情けなく何も救う事が出来ない不甲斐ない俺は。目の前の出来事じゃ飽き足らず、死ぬこと死んだ後の事にすら怯え恐れているのか──」
ユリクは、何かを悟ったのか。後ろに生えた太い木へと寄りかかる。
──少し穏やかになった表情からは。正直……『生きたい』と言う強い願望よりも ──。
そう、死への恐怖だけを考えてるようだった。端的に言えば、これは……生きる事を諦めた顔つきのような気がする。
ふ──と。ユリクは高い木の天辺を見つめるように空を見上げる。
陽もさほど通さない薄暗い森の天井。それは、今のユリク達を表しているかのように青々しい大空を遮る。
折り重なった絶望のように……。
「目と鼻の先にいるであろう──。こいつが、どんな力を持っているのか分からない。鋭い牙を用いているのか。鋭い爪を用いているのか。視認すらままならないのにも関わらず。何故か殺気だけは感じる。感じたくもなかったそれだけは手に取るように分かる」
もはや、ユリクは動く事を諦めてすら居るようだった。絶望しながらも、口だけは動かす
。ただ、それに対して何かをしようという気は無いのかもしれない。
──右手に仕舞い込んだ歪な形をした石は別にして──。
「──ならせめて、俺にだって強い意志・勇気があるって事を知らしめてやる。誰にって、追求してしまえば答えは見つからない。これじゃあ、ただの自暴自棄だよな……。
それでもいい。せめてこの子の為に一矢報いた──と言う結果が生まれたのなら。少しは変われたと言う事実になるに違いない……。それが自己満足でもっ!!」
ユリクは、とうとう。秘密兵器である石を強い意志の欠片すら見る事の出来ない。何方かと言えば、目にも留まる遅いスピードで緩やかな放物線を描きながら投げた。
「なんだよそれは……反則だろ物理干渉無効とか 結局本当の意味で太刀打ちも出来なかったと言うことかよ。いくらなんでも、期待も希望も可能性すら持つ事を許されない相手とか無慈悲にも程があるだろ……」
吹っ切れたかのように深く深く溜息をついた。
少しの希望も、見出すことすら出来なかったのだ。仕方がないと言えば仕方がない……。
「……お前達は一体何者なんだだ? 」
「そいつらは、魔境種。──何者でもない。いや、何者にもなれなかった物なのかもしれない──大丈夫か? ユリク」