各々の想い『セアー』
文字数 1,045文字
あの日、山菜集めに山を散策していた時、私は弟にカッコイイ部分を見せたくて独断で行動していた。
あの時、もし近くに居る事が出来たなら今とは違っていたかもしれない。──いいえ、そんなことは無いですよね。だって、運命は変わらないのですから。
「こんな事を言ったら、またユリクさん怒りますよねっ。ごめんなさいっ」
でも、そう考えると見えない筈の希望だって見えてくるんです。
もし、あそこで私達じゃない家族が、キールさん達じゃない方に囚われて居たら。
今みたいな結果にはならないはずです。
全ては繋がってるんだと、私は信じたい。
私は、キールさん・ラズさん・ユリクさん・くうりさんには、感謝をしてもしきれません。
ラズさんが作り直してくれた洋服。凄く可愛いです。昔、鍛冶屋をやっていたとは流石に思えません。
ユリクさんが、貸してくれたTシャツ、“ぶかぶか”してますけど、でも暖かいです。川で気を失って倒れている時、私を助けていただいて感謝です。
ラズさんが話してくれました。私の傷口の化膿を防ぐ為に薬草を用意してくれたのも、魔境種と言う物からユリクさんと私を救ってくれたのもキールさんだって。
くうりさんが、私達の前に現れて、目を直してくれて、優しく話を聞いてくれて。まるでお姉さんが居たら、こんな感じなのかなッて思いました。
でも、ご飯は凄い辛かったです。今でも唇が“ピリピリ”します。
すこし、後悔を言えば、ラズさんやキールさんの顔が見たかった。
今度は、目が見える状態でお墓参りに行きたいと思います。ユリクさんやくうりさんと、そして出来るかもしれない仲間達と。
でも申し訳ない気持ちもあるんです本当は。
「あの時、私が出会ってすらいなかったらって」
そうすれば、ユリクさんは変わりない毎日を過ごせたのではないかって。
私と出会ったがために危機に晒されて、大切な人も失って、私が本当にいても平気なのかって、今でも思います。
でも、優しいユリクさんはきっと否定をしてくれるのですよね。
なら、私はせめて足でまといにならないように努力します。
「と言うか、まさか……くうりさんが、ルグレの実の話であんな、大笑いするとは思わなかったです」
私も釣られて愉快な気持ちになって、そして気持ちが楽にもなりました。
笑うって大事な事なんですね。
私は、皆さんに出会って大切なものを教わりました。だから、これからは私もその導になるように頑張ります。
「──ふぁあーあ。今日は寝ましょうッ」
また、明日は素晴らしい一日が待っていますようにっ。
皆さん、おやすみなさいっ