4、金属樹-2

文字数 234文字

 風呂上がりの肌にパジャマを羽織り、英里は階段を登る。
 自室のドアノブをつかむ前に、奥の部屋の扉に目をやる。
 静かな住宅街の、静かな木造一軒家。
 二階の奥の部屋、東南の角部屋は友彦の部屋だ。
 扉の奥で、ギイと椅子が鳴った。友彦が真面目に机に向かっている音。
 友彦の部屋の勉強机は東の窓に向いている。もしこの壁と扉を透視できたら、彼の背中が見えるだろう。
 あの背中に触れることができたらいいのに。
 もたれかかって甘えてみたい。
 英里はほんの少し悲しい気分で自室に入った。
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