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文字数 637文字

前頭葉(ぜんとうよう)か。小脳(しょうのう)か。海馬(かいま)か。どこやられたんや」


「それは人の体に置いてきた」


 アベイユは人身売買が絡んだ犯罪に巻き込まれて、人間部分を失った。
 

 その時のトラウマが原因で心療内科に通っており、そこで、リョウと出会った。


「ごめんアベイユ、オレのせいで。あんな時に飛び出したから」


「違うよ、松本さんはバッタと捕食者を追っ払ってくれたじゃないか」


 ソロは軽率に飛び出してしまったことを後悔した。
 

 アベイユがどの程度、頭を(かじ)られたのかわからないが、取り返しのつかないことになるかもしれない。


「でも」


「バンビ、バトー。松本さんが美少女戦士に変身したの、黙っていよう。世間にバレたら、松本さんの生活が壊れちゃうから」


「びそうぞせんし? 」 


 アベイユの口から放たれた衝撃の事実に、ソロは困惑した。


「そや、美少女戦士や。別嬪(べっぴん)で博愛の化身(けしん)や。世間にバレたら変なんが寄って来る」


「そうだね。犯罪に巻き込まれたら大変だし。誰にも言わないから、安心して松本さん」


「彼氏にも言うたらあかんで。バンビ」


「言わないよ。そんなこと言って逆に興味持たれたらイヤっ。アタシのことだけ見て欲しいっ」


 それはソロも同感である。


 リョウには自分のことだけ見つめて欲しいし、高い関心を常に寄せて欲しい。。


 なんだかよくわからないが、とにかくわかっていることをまとめると、

① 実はオレは美少女で戦士だった。
② 博愛の化身(けしん)
③ 緑色のバーッて出す。
④ 世を忍んで生活を送っている。
                 以上。



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