第151話

文字数 472文字

 その後、大城学園は八回裏まで一失点、踏ん張っていた柳沢。九回ついに同点に追いつかれ、尚もピンチが続いている。
 一呼吸入れるために、バッテリーを呼び寄せる大城の監督。
「監督、提案があるんですが……」
 望未の言葉に決意が込められているのが伝わってくる。

「本気か?」
 柳沢は思わず大声になる。
「どのみち外野に飛べば終わりです」
「……分かった、勝負だ」
 監督も了解する。
 守備に着く大城学園、キャッチャー望未は立ち上がる。敬遠、満塁策である。一打サヨナラの場面、ダブルプレーで防ぐには塁が埋まっている方がアウトを取りやすい。
「ボールフォア」
 これで一死満塁。令成付属は代打を出す。そして大城側はここで各ポジションに指示が飛ぶ。前進守備体系だ、スクイズが無いわけではない。しかしただの前進守備ではなかった。

「これっていいのか?」
 思わず颯来が愉香を見る。
「私が分かるわけないじゃない」
 それもそのはず、内野五人、外野には二人しかいない。二遊間を大きく空けて、センターの今関をセカンドベース付近に守らせている。
「ブラウンシフト……」
 仙波は思わず呟いた。
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