第96話
文字数 719文字
基本相手の攻撃は『避ける』か『返す』しかない。『避ける』の中には『竹刀で受ける』『相手の竹刀を払う』『剣先でいなす』『空振りさせる』『突いて抑える』の五つ。『いなす』と『空振り』で避けた場合は反撃しやすく、『抑える』は連打の最中ではまず難しい、いや不可能と言って良い。
攻撃を『受けた』時、その返し技は少ない中でほぼ限定される。つまり千城は相手が『どう避ける』か、『受ける』か否か、を予測している。そして千城自身も『受け』なければならない場合、返し技の返し技を発動できない。
(見てろよ)
颯来は千城の連続技の中の一本に狙いを定める。
小手・面の二段打ちの面をしっかり受ける颯来。受けたと同時に千城の竹刀を上へ跳ね上げる。千城は颯来のパワーの前に、振りかぶったように両の手を上げさせられてしまう。
がら空きになった千城の胴、『受け』て『返せる』数少ない技の一つである。
当然、千城もそれぐらいのことは分かっている。胴打ちは避け難い。『受ける』のが普通だ。しかし千城の優れた反射神経は『空振り』させることができる。そうすれば千城の返し技の返しの絶好機となる。
千城が空振りを狙って大きく下がった眼前に、颯来の面打ちが迫る。
「メーンッ」
千城の想定を覆す『裏の裏』、颯来が満を持して放った飛び込み面は、千城が辛うじて竹刀で受ける。
(これも止めるかよ)
颯来は千城のその身体能力に驚きながらも、打ち込んだ勢いのままぶつかる。完全に意表を突かれた千城の体制が不十分だったのと颯来のパワーで千城の体がフワッと浮いて後ろに飛ばされる。
「メンだー」
空中で避けようもない千城に、ついに颯来の面打ちが爆裂した。
「やった……」
颯来の呟いた唇は震えていた。
攻撃を『受けた』時、その返し技は少ない中でほぼ限定される。つまり千城は相手が『どう避ける』か、『受ける』か否か、を予測している。そして千城自身も『受け』なければならない場合、返し技の返し技を発動できない。
(見てろよ)
颯来は千城の連続技の中の一本に狙いを定める。
小手・面の二段打ちの面をしっかり受ける颯来。受けたと同時に千城の竹刀を上へ跳ね上げる。千城は颯来のパワーの前に、振りかぶったように両の手を上げさせられてしまう。
がら空きになった千城の胴、『受け』て『返せる』数少ない技の一つである。
当然、千城もそれぐらいのことは分かっている。胴打ちは避け難い。『受ける』のが普通だ。しかし千城の優れた反射神経は『空振り』させることができる。そうすれば千城の返し技の返しの絶好機となる。
千城が空振りを狙って大きく下がった眼前に、颯来の面打ちが迫る。
「メーンッ」
千城の想定を覆す『裏の裏』、颯来が満を持して放った飛び込み面は、千城が辛うじて竹刀で受ける。
(これも止めるかよ)
颯来は千城のその身体能力に驚きながらも、打ち込んだ勢いのままぶつかる。完全に意表を突かれた千城の体制が不十分だったのと颯来のパワーで千城の体がフワッと浮いて後ろに飛ばされる。
「メンだー」
空中で避けようもない千城に、ついに颯来の面打ちが爆裂した。
「やった……」
颯来の呟いた唇は震えていた。