第69話
文字数 468文字
文化祭の後片付けも終わり、颯来が校舎を後にする。
「愉香、飯でも食って帰ろうか?」
「うーん……やめておく」
「ありゃ、何でよ?」
「だって……」
愉香が校門を指さす。そこにはグローブを持った望未が塀に寄りかかっていた。
城西のグラウンド、二人は久しぶりにキャッチボールをする。しばらく無言の投げ合いが続く。と望未が高速スライダーを投げる。
「と、と。もう見えねぇよ」
ボールは颯来のグラブに弾かれ転がる。
「何言ったんだ?」
「別に……」
「泣いてたぞ」
「……ちゃんとしただけだ」
「……」
ボールを拾うと投げ返す。再び緩いキャッチボールが始まる。
「今日は熱い湯船だな」
「まだそんな寒くねぇーだろ」
「……いいや、ぬるま湯の季節は終わったよ」
「……?」
「キャッチャー……リード、勉強してるんだろ?」
「だいぶ読めるようになってきた、と思うよ……」
「そっか……なら、分かってんだろ」
「……あぁ」
颯来は振りかぶると力いっぱい投げる。
『バシッ』
高めの浮いた球を辛うじて掴む。
「ナイスキャッチ」
「……余裕だよ」
「ンニャロ……頼んだぞ」
「……勝手なことを……」
「愉香、飯でも食って帰ろうか?」
「うーん……やめておく」
「ありゃ、何でよ?」
「だって……」
愉香が校門を指さす。そこにはグローブを持った望未が塀に寄りかかっていた。
城西のグラウンド、二人は久しぶりにキャッチボールをする。しばらく無言の投げ合いが続く。と望未が高速スライダーを投げる。
「と、と。もう見えねぇよ」
ボールは颯来のグラブに弾かれ転がる。
「何言ったんだ?」
「別に……」
「泣いてたぞ」
「……ちゃんとしただけだ」
「……」
ボールを拾うと投げ返す。再び緩いキャッチボールが始まる。
「今日は熱い湯船だな」
「まだそんな寒くねぇーだろ」
「……いいや、ぬるま湯の季節は終わったよ」
「……?」
「キャッチャー……リード、勉強してるんだろ?」
「だいぶ読めるようになってきた、と思うよ……」
「そっか……なら、分かってんだろ」
「……あぁ」
颯来は振りかぶると力いっぱい投げる。
『バシッ』
高めの浮いた球を辛うじて掴む。
「ナイスキャッチ」
「……余裕だよ」
「ンニャロ……頼んだぞ」
「……勝手なことを……」