第54話 ニクイね
文字数 375文字
颯来と千城が店を出ようと扉に掛けた手が引っ張られる。
「わっとと」
「あ、すみません……って、颯来?」
「お、望未」
「颯来君!」
「遥ちゃん!」
颯来のトーンが何段階も上がる。引っ張り出されてしまった自分も中に戻りながらドアを抑える。
「ささ、入って」
顔を見合わせる望未と颯来。無言の会話を終わらせるように口火を切る。
「何してんだ? お前ん家あっちだろ」
「……だな、じゃ、マネージャー、お疲れさん」
「こら、颯来! 何言ってんの」
「せっかく久しぶりに四人会ったんだから」
「……望未、ほら」
わざとふてくされた体裁で、颯来は望未に一つパンを放る。
「あ、こら、それ私のパン……」
四人の仲は何一つ変わってない、望未はそう思った。
(無邪気で遠慮ない颯来、明るく面倒見の良い愉香ちゃん、二人はムードメーカーだ。しっかり者で優しい遥ちゃん、不愛想で気の利かない俺……)
「わっとと」
「あ、すみません……って、颯来?」
「お、望未」
「颯来君!」
「遥ちゃん!」
颯来のトーンが何段階も上がる。引っ張り出されてしまった自分も中に戻りながらドアを抑える。
「ささ、入って」
顔を見合わせる望未と颯来。無言の会話を終わらせるように口火を切る。
「何してんだ? お前ん家あっちだろ」
「……だな、じゃ、マネージャー、お疲れさん」
「こら、颯来! 何言ってんの」
「せっかく久しぶりに四人会ったんだから」
「……望未、ほら」
わざとふてくされた体裁で、颯来は望未に一つパンを放る。
「あ、こら、それ私のパン……」
四人の仲は何一つ変わってない、望未はそう思った。
(無邪気で遠慮ない颯来、明るく面倒見の良い愉香ちゃん、二人はムードメーカーだ。しっかり者で優しい遥ちゃん、不愛想で気の利かない俺……)