第45話

文字数 838文字

 三堀は二つ上で高校三年生、颯来としては今年しか彼と戦うチャンスはない。三堀は語るべくもなく白銀高に進学している。
 城西高校男子団体戦の決勝進出を掛けた対戦相手は、その白銀高校となった。強豪と謳われる白銀、古豪復活となった城西はここまで順当に勝ち進んできた。四強である。

 城西高校、先鋒高宮(二年)、次鋒小幡(三年) 、中堅千城(一年)、副将未咲(一年)、大将宮崎(三年)。
 白銀高校、先鋒飯田(三年)、次鋒岸部(三年)、中堅菱木(三年)、副将米原(二年)、大将三堀(三年)。


「米原〔まいばら〕先輩、相当強いよ」
「白銅?」
「そう、俺が思うに三堀先輩より強いよ」
「なるほど……思うようにはいかないなって思ってたけど、よし、それなら気合入ったぜ」
「ひょっとしてボリ先輩より強い米原先輩に勝てば、ボリ先輩より俺は強い、的なやつ?」
「当たり前だろ?」
「ちなみに俺は颯来に勝った時、米原パイセンに勝って優勝だからね」
「いつまでも目障りな奴め」
「大丈夫、颯来も相当に強いよ」
「……とりあえず、バラパイセンとやらを倒してくるよ」

 剣道団体戦でのセオリーは、大将、中堅にナンバーワン、ツーを配置することが多い。次いで先鋒、副将、これらは剣道のタイプによることが大きく配置を分ける。最後に次鋒。
 学年や戦略によるが、少なくとも千城の中堅はその信頼と実力の証と言って良い。

「彦、菱木〔ひしき〕ってのは?」
「彼は知らないなぁ」
「白銅中ではない?」
「あぁ、だから楽しみだ」
 千城の余裕の歓迎は貫禄がある、これぞ王者の風格、チャンピオンの証。颯来はその自信を少し羨ましく思う、その自信を生み出す経験が喉から手が出るほど欲しい。
 それと同時にそういう人間とチームを同じくしていることに味わったことのない感覚がしていた。それは中二の望未とやった野球の時のように、団体戦も良いものだと思わせるに不足はなかった。
「ところで颯来。『武』か『彦』、そろそろ俺の呼び方決めてくんない?」

 準決勝が始まろうとしていた。
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