第84話

文字数 449文字

「良かった、いつも通りだな」
「……ンニャロ」
「でも失敗したかなぁ、今が愉香ちゃんと付き合うチャンスだったかもしれないからなぁ」
「ありがと……」
 しおらしい愉香。
「愉香様、御モテになりますから」
「また、そういうことを言う……」
 颯来の言葉に愉香が不満を漏らす。
「颯来、俺とキャラ被ってねぇーか?」
「ジョーダン、彦ほどチャラくねぇーよ」
「俺だって颯来よりイケてるからな」
「彦には負けねぇ」
「そうこなくっちゃ、な。次は春大会、うかうかしてられないぜ」
「だな」
「いつまでもボヤっとされてちゃ困る、全国優勝が待ってるんだ」
 千城のその一言で颯来は思い出す。
「……ところで彦、聞きたかったんだけど」
「何だよ、改まって」
「彦、中二の時の個人戦、全国大会ではどうだったんだ?」
「中二? あー優勝したよ」
「優勝?」
「あぁ」
「全国?」
「そうだよ」
「マジかよ……」
「で、中三は団体優勝目指したんだけど負けちゃって」
「……」
「だから颯来、お前の力が必要だ」

(千城武彦、全中個人優勝……一番の男がここに居る)
 颯来は震えた。
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