アッテネーターとトーンコントロール

文字数 1,772文字

 アッテネーターは、ウーファー以外のスピーカーユニットの、相互の音量調整のためのもの。そして実は私は、アッテネーターは少々変則的に使っていて、というか、極めて安直な使い方をしています。
 そもそも各ユニットは能率が異なる(同じ電力でも音量が異なる)ため、アッテネーターはそれらをそろえるために使うわけですが、通常、マニアックな人は聴感上でシビアに合わせます。私も以前はそうしていましたが、レコードによって最善のセッティングが微妙に異なってしまいます。
 だからレコードによってその都度いちいちアッテネーターを…、なんてことやってられません。調整が終わった頃にはレコードも片面終わってしまいます。

 それで私は、原則としてアッテネーターは各スピーカーユニットのスペックに基づいて、それぞれが同じ音量になるように機械的に調整し、(ただしホーントゥイーターとドームトゥイーターは半分づつです)あとはトーンコントロールで最終調整をやります。でも基本的にいじるのはTREBLE(高音調整)です。低音の調整はサブウーファーでやりますし。
 ところで、トーンコントロールを通すと音質が劣化するからといって、それをバイパスする機能もあります。マニアックな人はよくこれを使っています。私も使っていましたけど。
 だけど私は以前から「アンプは安いものでもいい」とも言ってきました。とにかくカートリッジやスピーカーに比べ、最近のアンプは圧倒的に性能がいいからです。だからトーンコントロールを使ったからといって、音質は変化はしますが、音そのものは全くと言っていいほど劣化はしません。
 そもそもオーディオの音って、カートリッジ(レコードプレーヤーの性能を含む)とスピーカーが最大のボトルネックで、合計でアバウトに10%くらい音を劣化させて、そしてそれ以外の部分、アンプとかケーブルとかは、各々、おそらく1%以下の劣化しか起こさないと思います。例外は前に述べた、接点の酸化物による通電障害ですが。

 そういうわけで、わりと最近から、私は安直にトーンコントロールを使っています。で、何のために使うかというと、それはひたすら第一バイオリンのためです。
 第一バイオリンが「フォルテ」で、「キ~~~~~~!!」って大音量を出すとき、それは高音のジェットエンジンのようなすごい音です。あるいはイムジチの第一バイオリンのソロでも、奏者が豪快に「キ~~~~!」と音を出すときもそうです。
 そんなときは再生も特に難しく、音が割れてしまう(割れて聞こえる)ことがあります。そのためにそれまで、アッテネーターでトゥイーターを絞ったりしていましたが、その絞り加減が難しいのです。レコードによってまちましだったりもするし、それにアッテネーターは複数が左右にあるし。

 ところが、これをトーンコントロールのTREBLEを絞ることで代用すると、回すつまみも一個だし楽です。それにトーンコントロールのTREBLEの場合、高い音ほどより多く減らすという特性があり、アッテネーターとは異なります。そしてどうやらこういう高音の絞り方の方が実用的な気がします。いわゆるフラットな音か、かまぼこ型の音かです。
 とにかくバイオリンの大音量の音って、再生がとても難しいのです。それで、音が割れないぎりぎりのところまでTREBLEを絞り、程良くかまぼこ型にすると、やや暴れていた音が、空気を切り裂くような生々しさを残しつつ、心地よいリアルなバイオリンの音になります。
 これはとりわけメインのカートリッジのAT33PTGIIでの再生時に顕著です。つまりカートリッジがそこまで生々しい音を拾い、その再生にスピーカーや、そして私の耳が付いていけないのです。こんな現象は安物のカートリッジではあり得ないことです。そういうカートリッジだと、バイオリンの音がぼやけているからです。

 ともあれ、第一バイオリンが「きつい」と感じたらTREBLEを少し絞ります。一方「甘い」と感じたらTREBLEを少し上げます。そして最適なTREBLEの位置が決まったら、もうあまりいじることはあまりありません。そしてその位置で、どのクラシックのレコードもだいたいOKです。そしてジャズやポップスは若干地味ですが、聴き疲れしない、だけど十分に鮮やかな音になります。



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