DENON DL110を使ってみた

文字数 1,135文字

 AT33PTG/II、AT-F7を使っていますが、弦楽器の音がややきつい?とか感じなくもなく、針交換時期かもとも思いつつ、それで、あの長岡鉄男さんもいい音と褒めておられた(らしい)DL110を使ってみました。
 前の稿でDL103についてどうたらこうたら書きましたが、ポイントは、DL103は放送用、つまり営業用で、とくにモノーラルレコードをかけるために0.65ミルという太い丸針を使っていることが、家庭用の高音質での使用に関し、不利であるということです。
 ただしDL103は極めて良心的に作ってあり、DENONがまじめにいい音を目指していることには違いありません。実際、結構いい音とは思いますけれど、だけどとりわけレコードの中央付近になると、音の劣化は否めません。
 だからDL103に楕円針とかラインコンタクト針とかが付いていたらいい訳です。
 そこでDL110です。
 これは特殊楕円針というものが使われているようです。
 で、使ってみると、思っていた通りのクオリティーです。周波数特性も良く、高音域での歪感も少なく、レコードの中央付近での劣化も全くと言っていいほど感じません。
 純然たる「音のスペック」としてはAT-F7クラスかな。
 だけどDL110にはプラスアルファーで、さらにいい点がありました。
 音に味わいがあるのです。とりわけ弦楽器は艶があり、聴いていて気持ちがいいです。いい意味で「DENONの音」ですね。ジャズも聴きましたが、ラッパも抜けが良く、気持ちのいい音です。
 それとDL110はMCカートリッジでありながら1.6mvと高出力です。だからヘッドアンプや昇圧トランスが不要で、PHONO入力のMMポジションで使えます。ただし1.6MVはMMと比べるとやや出力が低いので、VOLUMEは少し開けた位置になりますが、まあ、支障はありません。
 それで、昇圧トランスを用いないことの弊害/利点についてですが、昇圧トランスを用いると、トランス側のインピーダンスが小さく、そうすると逆起電力による制動がかかります。ボンと出た、とりわけ低音域がすぐに制動され、そうすると「締まった低音」になります。
 一方、DL110の場合は昇圧トランスを用いず、その分、音の制動は効かなくなります。そうするとボ~ンという感じの低音になります。「柔らかい低音」という感じですね。
 これはレコードによって好き嫌いが出そうですが、トランスを使った場合より「ゆったりとした音」という感じになり、悪くはありません。
 カートリッジは「これ一本」ですべてうまく行くわけではないと思いますが、しかしDL110は総合的にはとても良い音だと思います。
 これで26,000円程で、とにかくいい買い物でした。
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