「音の厚み」って?

文字数 959文字

 オーディオ装置から発する音を評価するのは、周波数特性と音のひずみ(高調波ひずみ)が大部分です。あとは過渡特性、つまり音が一気に出て一気に止まる。音のレスポンス。これは音のスピード感なんていいますね。アンプのパワーがものをいう部分でもあるし、もう一つはスピーカーコードの接点の維持も大切です。接点で電気抵抗が発生すると、「ダンピングファクター」というものが小さくなって、とくに低音がだらしなくなります。

 それで、その「音の厚み」って?
 それはやけに文学的表現ですが、物理学的に、これをいろいろ考えたけれど、結局周波数特性が絡んでいるように思います。あとは高調波ひずみ。
 つまり高調波ひずみが多くて、しかも高音域が強いと薄っぺらな音に聞こえるように思います。一方、高調波ひずみが少なく、しかも高音域を適度に抑えると、ゆったりとした、しっかりとした音に聞こえます。
 こういうのが「厚みのある音」ではないでしょうか。相対的に低音が強調されますので、ビオラやチェロとかコントラバスがやや強調されて、全体に重厚な音に感じられます。
 だから私は時々、アンプのTREBLEを調整します。第一バイオリンが「キツイ」と感じたらTREBLEを少し下げます。そしてビオラ以下の低音側の楽器とのバランスを整えます。そうすると音の「キンキン」した成分が減り、音全体が重厚感を漂わせます。

 ところで、DL103は音の厚みがあると言われています。だけど私は、それは単に高音域が出ていないからではないかと思っています。出る必要もないのです。FM放送を聴く視聴者の大部分の装置はFMラジオなんかが主ですから、そこまで高音域が出る必要がありません。
 一方、AT33PTGIIでは高音域が出ますから、一見(一聴?)音が薄っぺらくなりますが、TREBLEとかアッテネーターで高音域を少し落とすと、その薄っぺら感が見事に消え、重厚で艶のある素晴らしい音になります。それに比べるとDL103は荒っぽい大雑把な音に聞こえてしまいます。特にレコードの内周だと本当に悲惨です。ああ、でも一本6万くらいまでのスピーカーなら、DL103で十分だと思いますけど。

 それはさておき、とにかく、音が薄っぺらいと感じたら、トーンコントロールのTREBLEを少し絞ってみてください。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み