レコードスタビライザーって、意味あるか?

文字数 1,551文字

 レコードスタビライザーって、レコードの中心に乗せる「重し」です。何千円もしますし、何万円もするものもあります。
 実は私は自作しました。防振ゴムと鉛とを組み合わせて作りました。だけど最近は全く使っていません。
 何故かというと、私が聴く分には全く音が変わらないからです。変わらないものだから、いつの間にやら使わなくなってしまったのです。
 レコードスタビライザーは演奏中、レコード板が振動するのを抑制するのが目的だと思いますが、中心だけを抑えてもあまり意味ないと思うし、下手をすると重みでレコードが反ってしまい、外周部はターンテーブルマットへの密着が悪くなるような気もするのです。
 というのは、これを書いている私の目の前にはサブのオーディオがあって、そこにDENONのDP300Fがあるのですが、見てみるとターンテーブルマットの、レーベルが接する部分は凹んでいます。これは音溝部分だけがマットに接触するよう配慮されたものだと思います。
 で、その凹んだ部分に合わせてレコードスタビライザーを乗せたら…
 それと、振動という現象を力学的に考察するならば、重しを乗せても「共振周波数」が下がるだけで、振動自体は必ずしも抑制できません。振動の抑制は、防振ゴムのような「叩いてもカーンと鳴らない」ような物体に接触させるのが効果的。そもそも、そのための物体がターンテーブルマット。
 で、「カーンと鳴らない」という性質を内部損失、あるいはヒステリシスロスといいます。内部損失が少ない典型はお寺の鐘。内部損失が多い典型は粘土。防振ゴムもそうです。
 それで、レコードの反対面の音溝が、内部損失の大きなターンテーブルのゴムマットに接している時点で、振動はかなり抑制されているはずです。
 それと実は、私が使っているONKYO CP1050に付属するターンテーブルマットは、見た目は実に貧弱です。何だかやけに固いし薄いし。ネットではこのマットをぼろくそにいう人もいました。早速高価なマットに変えたとか。
 だけど実は、私のところではこのマットで、とてもいい音が出ています。ゴムマットはある程度固い方がいいように思います。で、マットが薄いというのも、硬さの点ではいいのかも知れません。
 実は、薄いスポンジとか、通販なんかで商品を包むプチプチでマットを自作し、試聴したことがあります。で、全くダメでした。そういう経緯もあり、硬いマットがいいのかなと。それゆえにONKYOさんはあんな見かけ上貧弱なマットを使っているのかなと。ともかくいい音だからこのマットで文句ありません。
 それから、レコードで重量版といって、厚みのある重たいものも、高音質レコードとして存在しますが、その一方で、フィリップスのレコードで、ものすごく薄いにも関わらず、ものすごくいい音のレコードもあります。そうかと思えば、重量版でも「そんなにいい音か?」と思うものもあります。
 つまり早い話が、録音が良くて、マスタリングが良くて、カッティング・プレスが良くて、レコードの状態がいいと、いい音がするのではないのかな?
 だから私は、基本的には「音」で選びます。値段とか、上等そうだとかではなく、自分の耳で選ぶようにしています。だからいい音がしさえすれば、値段は関係ないと思います。そうやって自分の耳で取捨選択しながら、現在のシステムに至っているのです。
 まあ、レコードスタビライザーで「音が良くなった」と感じておられる方に反論する気は毛頭ございません。いや、レコードの物理的特性によっては良くなることもあり得るでしょうね。私は良くなった試はないですけど。
 私はメーカーや販売店のセールストークにはあまり乗らないようにしています。私は自分の「耳」を信じて音作りをする主義なので。

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