針圧調整の話 その2

文字数 1,244文字

 トーンアームのゼロバランスを取って、バランスウエイトのメモリを0に合わせて、それからバランスウエイトをねじ込んで、つまりトーンアームの軸に近づけて、例えばメモリを2に合わせる。
 そうするとトーンアームのバランスが崩れて、カートリッジ、というか、針に2グラムの荷重がかかる。
 だけどこれは精度が悪いのです。カートリッジの重さによって0バランスの位置はまちまちで、それから、例えば2の位置まで回しても、必ずしも…
 この話はのちにCP1050の魔改造の話でも述べます。
 だから針圧計を使うのもいいのですが、実は針圧は最終的には音を聴いて決めるべきです。
 で、針をレコードに落とすと、カンチレバーが沈み込みます。
 カンチレバーって、オートバイのリアサスペンションみたいな構造です。オートバイではスイングアームといいます。四輪車でこれに類似したものはトレーリングアームといいます。
 支点がアームの前方にあって、それにバネの機構が与えられて、だから荷重をかけるとアームが上へ回転し、釣り合いの位置に至る訳です。
 で、車輪が浮いたとき、あるいはカートリッジがアームリフターで持ち上げられたとき、カンチレバーは伸び切った位置にあります。
 で、荷重がかかると、つまりレコードの話では針を落とすと、カンチレバーは上方へ回転します。つまり沈み込みます。
 で、あまりにも針圧が多いとカートリッジがレコードに接しってしまいます。だからカンチレバーは伸び切った位置よりは沈んでいて、さりとてカートリッジがレコードに接する訳では無い。その狭間の位置がいいわけです。
 これは走行中のオートバイや自動車のスイングアームやトレーリングアームも同様です。
 だからレコード演奏中も、カンチレバーは「程よい沈み込み」がいいわけです。
 程よい沈み込みというのは、カートリッジの場合、MMであれMCであれ同様なのですが、コイルと磁石の位置が適切な訳です。
 そうすると効率よく発電できるわけですが、それだけではなく、磁石がつくる磁界が「安定した」位置にコイルがあるということが望ましいのです。不安定な場所だと発電時に音の歪みが発生してしまいます。
 ともあれそういう訳で、カンチレバーは程よい沈み込みがいいのです。それは伸び切った位置から沈んで、だけどまだまだコートリッジとレコードには十分な距離がある。まあ40~50%くらい沈んだ位置じゃないでしょうか。
 だから針圧を調節し、レコードに針を落としたら、その沈み込み具合を確かめましょう。そして耳を澄まして、いい音がしているか確かめましょう。
 ところで、カンチレバーのバネの「硬さ」は温度に依存することがあります。バネとしてゴムが使われている場合です。そうすると気温が高いとカンチレバーの沈み込みが多くなります。
 だからこの場合、針圧を減らすといいでしょう。
 とにかくカンチレバーの沈み込みに注目しましょう。バランスウエイトのメモリはあくまで参考値です。それと「いい音」かのチェックも。
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