第76話 検索【4】

文字数 906文字

【4】

 祖父の話に触発され、日米開戦時のことを調べていて、興味深い記載をみつけた。

【読売新聞 一九九一年七月八日
◆大戦中の義勇軍「フライングタイガーズ」正規の空軍部隊だった。
 米紙が報道
 ロサンゼルス七日=桝井成夫

 第二次世界大戦で蒋介石総統の中国国民党軍に協力、中国南部とビルマ戦線で日本軍機を大量撃墜したことで知られる「フライングタイガーズ」は、日米開戦半年前の一九四一年春、米国防総省の承認のもとに空軍基地から集められた戦闘機パイロット二百五十九人による正規のエリート空軍部隊だった、と六日発のロサンゼルス・タイムス紙が報じた。

 同部隊はこれまで、民間義勇軍とされ、国防総省自体、陸軍省や大統領とのつながりをいっさい否定してきたが、約百人の生存者が国防総省に史実を認めるよう請願、このほど退役軍人として認められたという。

 同紙によると、「フライングタイガーズ」のパイロットは、蒋介石の軍事顧問クレア・シェンノート氏によって、当時の新米パイロットの五倍相当に当たる月給六百ドルと日本軍機一機撃墜ごとに五百ドルという破格の報酬で、全米各基地から集められた。

 全員は、農民や伝道師、エンジニアなどを装ってビルマに集結。
 蒋介石政権が米国に借金する形で資金を負担、弱体の中国航空部隊を裏で支えた。
 現地で飛行訓練を積んだ後、十二月の真珠湾攻撃直後から国民党軍のマークが入ったP40戦闘機に搭乗、中国南部とラングーン周辺で日本軍機と交戦し、日本陸軍航空隊の戦闘機など日本軍機二百九十六機を撃墜したとされている。

 同紙は「フライングタイガーズ」研究家デービッド・フォード氏の証言として、当時のモーゲンソー米財務長官が取り決めた国民党への一億ドルの融資が役に立ち、ルーズベルト米大統領経済顧問のロークリン・カーリン氏が計画全体の調整役を務めたとの見方を示している。

 さらに同紙は、「フライングタイガーズは大統領と米軍中枢の承認を受けている」との米陸軍航空隊ヘンリー・アーノルド将軍のメモ(一九四二年)も見つかったとしている。
 真珠湾奇襲の半年前に米側が軍事行動をスタートさせていたことを示すものとして議論を呼びそうだ。】
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